Aya

軍艦島のAyaのレビュー・感想・評価

軍艦島(2016年製作の映画)
3.4
#twcn

リュ・スンワンの新作、超ビッグバジェットでの制作、スター俳優を揃え、尺もたっぷり130分。2017年夏公開前、2017年初の1000万人越え?!と期待された本作。

結果!600万人強という大コケ。(600万人客が入って大コケといわれる韓国映画の恐ろしさなw)
内容が内容なだけに日本でも話題になりましたね。事実に反している、と。
実は韓国側からも考証がおかしい、と言われもう散々(>_<)
まあ日本では公開されないでしょう、と常々言われております。

それでは見てみましょう!!



これは

無理だわw

って感じの日本人描写だったw

朝鮮半島で楽団に所属していたファン・ジョンミンはチョン・マンシクに正体を受け娘を連れて日本へ。
他に多くの朝鮮人、日本人が入り混じり船に乗った。
医学生のソ・ジソプ、おじさん、女、子供etc...本国では食う金にも困る多くが日本での仕事で一攫千金を夢見て・・・。

もちろん簡単な仕事でないのはわかっていたが、チョン・マンシクから「シムラさん」という人を訪ねろ、と手紙を預かっていた。
だから大丈夫!と思って軍人に話しかけるが、なんと多くの朝鮮人は皆この手紙を持っており、チョン・マンシクはファン・ジョンミン以外にも同じ話をして多くの朝鮮人を日本に送り込んでいた・・・。

そして一同は訳も分からず軍艦島行きの船に乗せられる・・・。

この軍艦島到着シークエンスがエグいですね・・・。
ここですでに日本に持ってこれないです。

刑務所並みの身体検査に暴行。持ち物の搾取。
女子供は身体検査を受け、遊郭へ。
子供は少年兵として訓練学校へ。
通された家には窓に鉄格子が貼られ、畳は水浸し。
タコ部屋に入れられ食事にはゴキブリがいる始末。

そして釜山からの交通費、家賃や食費、そして健康保険から積立貯金まで全て給料から差し引かれ、あっという間に地下炭鉱へ。

そんな無知な貧乏人が集まる軍艦島へ日本から朝鮮を奪還するため送り込まれるのがソン・ジュンギ演じる、外国で訓練を受けた有能軍人。

軍艦島を仕切る炭鉱の社長はキム・イヌアジョシ!!
帝国時代のひどい日本人をやらせるなら今はこの人しかいない!!
(でもキム・イヌアジョシは日本生まれ日本育ちだから、アジョシって呼び方があってるのかわからん・・・。普通に日本人が呼ぶならキム・イヌさんでいいと思う)

テンポと手際のいい編集でここまで、10分もかからなかった!!
さすがリュ・スンワン!

炭鉱での作業という超限られた空間にもかかわらず、ドラスティックな事故が多発!

驚くほどドンドン人が死んでいくし、崩れたので、もう爆破しちゃって掘り下げよう、というところに取り残された炭鉱夫たちがなんとか脱出しよう!とする男たちの生臭くも油まみれの筋肉が光っており、このシーンの脱出とかすげえかっこいいんだよ・・・。

その後も、日本人と朝鮮人の立ち位置、そして必ずいる日本に寝返る朝鮮人の裏切りなどの人間関係のパワーバランス。

あと、炭鉱夫たちの住んでるアパート?的な結構な高さの建物の上まで押し寄せる波、とかすごい。
ものすっごいお金かかってそうな縦のすごい映像なんですよ。

色々暗躍して水面下でごちゃごちゃしてる最中、米軍から爆撃を受けた際、この炭鉱夫たちの住んでる地域が閉鎖されるんですね。

で、この後、戦争で負けて裁判になったら自分たちのしてきたことは明らかにアウトだから、軍艦島にいる朝鮮人を全員殺さなきゃ!って日本人側が(軍てよりは会社の人?)ちょっとここよくわからない極論を出してくるんですね・

それを決定打にするように、日本人の女の子を殺して、朝鮮人にやられた!ってことにするんですけど、これは朝鮮人の寝返った勢がやってた気もするのですが・・・。

そんな中、娘を遠くに送られそうになったファン・ジョンミンが娘を連れ出して、なんとか逃げようとするんやけど、途中でギョン様とソン・ジュンギの高等朝鮮人のいざこざに巻き込まれたり、そんなんどうでもいいから、とにかく逃げようとするんやけど、怪我したソン・ジュンギを見つけてしまって、介抱しながら仲間たちにも会いに行ったら、大変な状況を目の当たりにし・・・これは自分たちだけ逃げられない!

会議を開いて不安になってる朝鮮人をまとめようとするギョン様とギョン様は裏切り者だ!というソン・ジュンギを筆頭とした(この人だけ仕事!)ファン・ジョンミンらで民衆を巻き込んで喧嘩になるシーンの有事の際の仲間割れ、という大変な状況が・・・彼らは逃げる道を選ぶのかそれとも戦うのか・・・。

この部屋にものすごい密度で人がいる討論シーンとかすごい。
やっぱりテンポがいいんですよねえ。
舞台がほぼ暗く、夜のシーンが多い。

ソン・ジュンギはプロだから手際よく容赦無く相手の息の根を止めるんですけど、ファン・ジョンミンは人がいいから、馴染みの軍人とかは大事なときでもナイフで刺したりとかできないんですね。
(私のソン・ジュンギに対するイメージが「チリも積もればロマンス」のいいところでコンドームも買えない貧乏青年で止まってるw)

後半のなんとか敵をかいくぐって、戦う班と女子供などの逃げる班に分かれるシークエンスはどちらもなかなかの見もの。それぞれにドラマがあり、とにかくたくさん人が出てるから密度がすごい。つるべ打ちのようにあんなことやそんなことが起こり、それが一つ一つカタルシスにもなり得るのに、多いから、その一つ一つを掘り下げられてないからもったいない!
とにかく過剰なんだよw

もうちょっとスポットを当てる人物を絞ったほうが見やすかったのになあ。

もう逃げる班の危ない!きゃー!助かった!とかも演出一つが細やかでドラマチックだし、何と言っても戦う班です。

もう戦闘シーンが凄すぎる。
かっこよすぎる!!
炭鉱で使うダイナマイト、お手製の火炎瓶。
そして一部の日本兵から奪った銃やナイフ、そして日本刀が活躍します。
もう武器を駆使して戦う戦う。
身体の動きは俊敏でアクションがとても速い。

武術チームはいつものクォン・ジフンとイ・サンミンコンビなので、リュ・スンワンだけでもいいのと悪いのどっちもやってますねw

あのー、ここ戦場でもなんでもないですからw
彼ら兵士でもなんでもない炭鉱夫ですからw
現行韓国徴兵制による、武器がマジで扱えますホンモノ感が炸裂してますw

この映画で「日本人どもめ!」と言っていたファン・ジョンミンアジョシが翌年大阪韓国文化院に来てくれて、男前な投げキッスをかましてたのはめっちゃ感慨深いよね。

それも含めて考えると、有り体作り側も「盛ってます!』スタンスなのは明らか。
これが事実で日本にこんなひどいことをされたんだ!ってほんまに思ってる人あんまいないんじゃない?
ひどい日本人も出てるんですけど、明らかにアホ扱いやからなあ。

リュ・スンワン映画としてもこの映画に持ち前の泥臭さがかけてるか、って言われたらそんなことないし、最近身につけたスタイリッシュさが損なわれているか、って言ったらそうでもない。
オープニングとラストだけ白黒になる演出も意味はないけど、なんか時代感あっていいですからね。

彼らが最後に見るそこだけ色のついたあれ・・・。
話の流れとしてはわりとちゃんとしてるんだよなあ。
ただ、まあごちゃごちゃしてわかりづらい、というのもわかる。

歴史観的に韓国が嘘をついてる、とか日本人ひどいとか言ってる人多いけど、いや、そんな真面目に時代考証する映画ではないし、関わってる人みんなそこは完全フィクションテンションでしょうw
リュ・スンワンはそんなに日本に興味ないですからねw
お金出してる企業がどうかは知らんけど。

もしまだ、この映画の興行が失敗した理由、俺たちの期待したリュ・スンワンの新作じゃなかった、という人には「とにかく登場人物も多すぎてごちゃごちゃしている」という言い訳しかないかなあ。

嫌なシーンも多いけど、かっこいいのはマジ否めないから!
Aya

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