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探偵ホン・ギルドン 消えた村のnのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

コミック的なノリの、軽く楽しめる映画かと思いきや(痛快などんでん返しの面白さもきっちりあるのだが)、大変に重い話だった。

同胞が同胞を殺すことを強いられる虐殺の時代、殺した側と殺された側に決定的に分断されてしまった人々は、その悲劇を乗り越えることができるのか。特に朝鮮戦争や軍部独裁を経験してきた現代韓国において、そういった亀裂は今でも社会のいたるところに口を開けているのだろうと想像するが、問題をきちんと整理し虚構化しつつも、安易な和解に逃げることなく、かといって悪趣味なバッドエンドに走ることもなく、深刻な題材と真摯に向き合った、優れた作品だと思った。

(カルト教団が世俗の権力を操って恐怖政治を敷くというモチーフは古今東西に実例もあるようだけれど、近現代の韓国でもそうした集団が実権を握っていたことが実際にあったのだろうか?調べてみたい。)

おそらく脚本のせいで肝心の主人公ホン・ギルドンの人物像や行動原理に微妙に一貫性が欠けてしまっているので、キャラクタームービーとしての完成度はいまいちだと感じたけれど、遂に姿を現さなかった「父」との直接対決など是非とも見たいので、続編も待っています。
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