豚肉丸

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアの豚肉丸のレビュー・感想・評価

4.7
平和な家族の元にある青年が訪れ、「父親が家族一人を殺さないと父親以外全員が死ぬ」という試練を課されるお話

ただただ順当に最悪な方向に転がっていく。物語的にも雰囲気的にも『ファニー・ゲーム』に近いが、ドラマ性があってエンタメ性も高いので...楽しめる映画ではあるが、かなり最悪で胸糞悪い映画だった。

カメラの演出が物凄すぎて圧倒された。息子が倒れるシーンが代表的な俯瞰視点や、横や縦に動き続けるカメラワークなど、どの場面でも不安になるような映像が続く。カメラの動き自体は多いんだけど、派手な場面は少なくて終始静かな映画ではあるが...時折入る派手な場面の映像が凄い!!(銃声を聞いて妻が部屋に入る場面とか)
あと終盤の手持ちカメラを使って登場人物の苦しみを観客にも味わわせるところなんかもうほんと...ヤバいとしか言いようがない...

映画の登場人物の殆どが利己的な人物ばかり。主人公格のキャラである夫は背景含めて救いようの無いクズであるが、妻も妻でどこかおかしい部分が露呈している。そもそも序盤の「平和な家族」を表す食事シーンでも家族の歪みが現れていたような気がしなくもないがどうなんだろう。個人的には滅茶苦茶居心地の悪い家族のように思えた。

物語も演技も映像も音楽も、徹底して観客を不快にさせてくるために作られたような映画だった。
あの作文のテーマの作品がこの映画のモチーフになっているらしい。気になるな...
豚肉丸

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