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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのSSDDのレビュー・感想・評価

3.4
■概要
ある心臓外科医はオペで患者を亡くした少年を贔屓にし、面倒を見ていた。
ある日、家に招き家族に合わせるとその日から家族に原因不明の病が始まり、少年の態度が急変を始める…。

■感想(ネタバレなし)
ロブスターの監督らしい作風で、淡々とした感じで抑揚のない会話シーンが多く2時間の尺だと集中力を切らしてしまった。
かなりカオスなサスペンスホラー。

ロブスターは独身でいることを禁忌とされ、独身者は拘束されてパートナーを45日以内に見つけられないと動物に変えられるという不条理ではあるが社会的常識などを描いているのがわかるが今回の作品は、そういったテーマが見えにくい。

とはいえ静かに進む中、人間の負の要素が随所に出てくるインパクトのあるセリフや、アクシデントが起きた時に俯瞰になり、人物の表情すら読めなくするなどかなり独特のカメラワークで不気味さを演出していたり見所は沢山。

悪くはないが人に強く薦める映画ではないかな、好みのとても分かれそうな作品です。











■概要(ネタバレあり)
・呪い
心臓外科医は飲酒してオペしたことで少年の父親を殺した罪悪感から贔屓にしていたのだが、少年はそれを知っており報復を始める。
公平性を非常に求め、父親を奪ったのだから初めは自分の父親になるように求めるが拒まれたことから、今度は呪いを家族にかける。
○外科医本人は死なない
○家族の誰を殺すか決めないと4つのステップで全員に呪いがかかる
1:足が麻痺する
2:食べ物を受け付けなくなる
3:目から血を流す
4:死に至る
この少年は自身の能力を認識しているし、発動も自由なようだ。
不条理で絶対的な能力がこの映画の前提。

・聖なる鹿殺し
ギリシャ神話の話で狩の神が誤って他の神の鹿を殺めてしまい、その代償に子供を捧げることを条件とされるという話。
それを前提とする寓話的な内容なのだが…なんだろう絶対的平等であるべきと謳う内容だとするとちょっと腑に落ちない。

・総評
最終的に一人を無作為に選んで生き残る家族とそれを見つめる少年で終わるが、能力の説明とかないのは問題ない。
ただ、ステップごとに進行する中精神的におかしくなるのはわかるが性的倒錯みたいなものを随所に入れるのはメタだとしてもちょっと辟易した。

トロッコ理論のような誰を救うか全員死かを選ばせ、理解不能な能力を持つ少年という内容も面白いもののやはりもう少し短くして欲しかったというのが正直なところかな。
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