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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのmistyのレビュー・感想・評価

4.0
怖い。何もかも怖い。何をどうしたいのか、どう終わらせたいのかが全く予想がつかなくて1秒先も怖い。常に背後斜め上からの病院廊下の長回し、甲高い弦ともはや楽器不明の爆音、全く意味がわからないセリフ、病の進行のしかた、すべてに神の手が介入しているとしか思えない物語。

もう人の力でなんとかできる域は最初から踏み越えられているので悲劇がすごい速さで転がっていくのをただ見ていることしかできないし、登場人物もみんな自分が悲劇の駒のひとつであることを理解し受け入れているのも怖い。誰か一人でも本物の悪魔だったらよかったのにとすら思う。

這って歩く動きがめちゃくちゃに怖い。特にそれで階段を下りられるのだいぶ怖いゾンビより怖い。物語が進むにつれて家族みんな表情が無になっていくしそこにつきまとうマーティンは最初こそ復讐なのかなと推量はするがそもそも何も考えてないんでは?と思い始めるといよいよむり、怖い。やばい。

いよいよむりだし怖いしやばいしシネリーブル特製不条理のレモネード飲みながら手ががたがた震えてたけど好きか嫌いかで聞かれるとめちゃくちゃ好きだよとなるのがまた憎い。でももう一回観たくはない。この余韻だけで向こう一週間はわたしの中でトレンド入りする自信があるしこの監督はやばい天才。
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