Moeka

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのMoekaのレビュー・感想・評価

4.0
ギリシャ悲劇のアウリスのイピゲケイアをモチーフにした面白おかしい狂気の沙汰の物語。無垢な魅力をそのままに天使にも悪魔にも神にも変貌する、人間の皮を被った異質な存在を演じたバリー・コーガン。このご時世に支配欲求を真っ向から示す父親を演じたコリン・ファレル、俳優陣の怪演が素晴らしすぎる。シャイニングやアイズワイドシャットを思い出させ、キューブリックの構図と類似しているのは偶然ではなかろう。途中の映画がシーシュポスの神話をモチーフとしているのも面白い。罪は償わなければならぬ、代償を払わなくてはならぬ、最も無垢な者が犠牲になる悲劇。それでも人生は続く不条理。出口は見えるのに逃げ出せない不条理。狂気!緊迫!狂気!大好きだ!
Moeka

Moeka