構図になることを拒むかのような、妙にズレたカメラは"誰か"の視点を想像させる。同様に、会話やストーリーの進行も、何かが足りないような印象を意図的に演出していて、外側にある何かを意識させられる。それは心地よい省略とは別の、むしろ違和感のある欠落。これがハマるかどうかと思うが、個人的には微妙。洞口依子が「あらかじめピースの欠けたパズルを解く不条理さ」とコメントしたのを読んだけど、まさにそれで、意図的にピースを抜いて「難しいでしょう?」と言われても、はあ。って感じ。ギリシア悲劇の教養も無いしなあ。なんなら『アイズ・ワイド・シャット』に見えちゃったよ。