モウドクウサギ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

4.2
家族愛を描いた「リメンバー・ミー」をご覧になられた方なら、ぜひ、こっちも観てほしい…、というのは嘘だが究極の選択を迫られ、家族愛を試される性格の悪い映画だ。
例えば、最も効果的な復讐とは、どんなものか考えてみよう。憎い相手を殺す?目の前でその家族を殺す?それとも…、本人の手で、家族の誰かを殺させる?
今作は神話をベースにしながらも、復讐譚であり、優れたスリラーでもある。過ちの贖罪のため生贄を要求する話はごまんとあるし、目には目をといったシンプルだが非情なルールは実は馴染み深いものだ。演技は淡々としてドライに見えるが、節々は生々しい。何をどうやっても、抜け出せない状況に陥れられた時、各々は何を考え、どう行動するのか、嫌な言い方だが興味深い。万人には勧められないが、じわじわと嬲られる演出は目を見張る。