ぴのした

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのぴのしたのレビュー・感想・評価

4.1
怖すぎて面白すぎて死ぬかと思った…むっちゃ疲れたけどまじで見て良かった…今年見た中で5本の指に入るレベル

主人公の医者は自分が死なせてしまった元患者の息子、マーティンと仲良くしていた。しかしマーティンは次第に医者とその家族に執拗に付きまとうようになり、やがて不可解な出来事が起こる…。

『ロブスター』でお馴染みのヨルゴス・ランティモス監督の最新作。

ロブスターと同じく、それ以上に"不条理"という言葉がよく似合う。恐ろしいことが次々と起き、最終的にも最悪の結末になるんだけど、結局その不思議な現象がなぜ起きたのかは説明されずじまい。

でもまあそこで「実は僕呪いの力があるんです」みたいなのは興ざめだし、説明されないからこそいいんだろうけど。

悪霊もエイリアンも殺人鬼も出てこないのにむちゃくちゃ怖い。なにが怖いってまず音楽が怖い!!音がなければ普通に会話してるだけのシーンなのに、爆音で弦楽器が不協和音を伴って擦れる音が流れたりする。

カメラワークも奇妙で、ずっとクルクル動き回って落ち着きがないし、真上から撮ったエスカレーターのシーンは普段カメラを意識しない人が見ても忘れられないシーンのはず。何はともあれ演出がすごすぎる。


新宿のチャラチャラした若者どもの首根っこつかんで片っ端からシネマカリテに押し込んでこの映画を見せて発狂させてやりたい…

見た後の感覚的にはノクターナルアニマルズを見たときと似ている。エンドロールが終わっても生きた心地がしなくて、ドッと疲れが来る。整然とした説明がないと「結局なんだったの?」っていう人は多いけど、ドッと時間を忘れて疲れ果てるほど没入できたってだけで確実にいい映画だと僕は声を大にして言いたい。