あもすけ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのあもすけのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

どんなに強制しようとしても、個々の心は頑として個々に存在し続けるのだった。
彼は反省や謝罪や心の問題は求めずに、父親自ら手を下す家族一人の死という事実だけを求めていて、徹底していて、少しの余地も与えない。誰を、という選択をしなければいけない残酷さも乗っかっているけど、そこを追求することはない。結果的に父親は、選択はしていない。そして選択しなかったことも含めて、父親は自らの非を認めず、責任を負う気持ちを見せず、周りに押し付けてばかりいて、心をねじ伏せられるまでにはいかない。
ラストの家族と彼の場面、そこから争いの連鎖が、というようにも思えるけど、それよりは、消えることのない心のなかのことを残したまま表面的な事実としてだけの距離がまた保たれた、みたく感じた。
事実で決着をつけることしかできないくらい人の心は個々に在り続けるから、事実で決着をつけたとしても消えずに残る心のことと同じように、観終えて嫌さが残り続けてるような気がする。
あもすけ

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