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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのan0nym0usのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

人の業をモチーフに仕上げたカメオ。

視覚効果、音響作用の双方で『不和』を刺激しつつ…銀幕のこちら側を手痛く誹議するような表現。この系譜の天才の作品は…どれも痛烈。人間の核心に触れてくる。

この作品はキモい!ゾワゾワする!
と、多くの人が書いているので…
ひとつ確認です(´ω`)

私たちの現実も…
似たようなものじゃないですか?

私は『ですよねー…』ってなりました(苦笑)

こういうのを観ないと、今この瞬間にも溢れる『ゾワゾワ』を感じなくなってる自分の順応が、なにより『キモい』のです。

罪過に塗れておきながら、何もなかったように続いてる…この『今』の悍ましさ。

ほら、みんなも…全身麻酔が効いてるよね?
変態的なプレイを笑えなくない?(苦笑)

イメージとしては…一分の光も射さない暗闇の中を彷徨い、光を求める無数の手が絡み合う…みたいな感じでしょうか(謎w)

ライトを消したのは誰だ!?

…なんて言い争いになって、たくさんの手がスイッチを求めてウゾウゾと絡み付いて、ホラーみたいに気持ち悪くなって、そのうち何を探してたかも解らなくなって、もう暗くてもいいんじゃね?…なんて事を言い始めて、絡み合ったままでその状況に順応する。

ある意味、喜劇のようで笑えますよね。
それが私たちの世界ですがw(*´-`)

恐ろしいほどの順応にメスを入れると…そこにも病巣が深くまで根を張ってる。それこそ心臓から全身に走る血管みたいに。私たちの血を媒介にして…病を隅々まで行き渡らせてる。


時に何かの混乱が起きれば…
それは見えてくる。

諍う者、それを煽る者…
争いを収めようとする者、静観する者…

それぞれは違うように見えて…

その実、全員が『利己的』な思惑を根源として行動を選択をしている。それが暗闇で絡まる手。

複雑に絡み合った状況に…順応する。


撃ち殺されたのはボブ。

無作為に?

なら無作為って何?


実はそれも、無作為という名の『作為』


見えなかったんだから、しょうがない…


そんな言葉を求めるが故に。


究極を迫られながら…
どこまでも浅ましく、利己的。

これは白か黒か…延々と続く問答に答えを出さず、有耶無耶を溶かして灰色に染めていく。

誰にだって…経験があるでしょう?

どうでしょう…麻酔は切れてきました?
日常の中のゾワゾワ…戻ってきました?
圧倒的すぎて、麻痺するしかないよね。

このゾワゾワがスゴい!大賞。
堂々の第1位は『現実』でした(爆)


多くの差別、戦争の原因は何か?
大分類の答えで言うのなら…

自分からは絶対に切り離せないもの。

誰もが持つ『エゴ』
その極致。


さてさて、気になるお題ー

真なる馬鹿(←私w)
いや、聖なる鹿ね。

もしかして!?Σ('◉⌓◉’)
もののけ姫のシシガミ様!(爆)
私はヤックル派です(訊かれてないw)

殺そうとすると世界を滅ぼす祟り神になるから…観念的には間違ってないかもよ?(笑)

真面目に答えるなら…

今作においての聖なる鹿は…

浅ましい利己の対極にある、不確かなもの。
曖昧な輪郭の『正しさ』や『善』の概念…
言うなれば『真善美』ってトコですかね。

私たちは日々それを濁して、殺している。

でも、それさえも…

誰にとっての『正しさ』と『善』なの?
という問い掛けを前にすると簡単に揺らぐ。
深くなる闇の中に見失ってしまう。

解らなくなって、また…暗闇で手を伸ばす。


スイッチはどこだー!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾


さあ皆さん!
グチャグチャに絡まって…
不気味なオブジェになりましょー!(狂人)


間違ったフリして自爆ボタン押そう!(爆)
麻酔が効き過ぎて、自分の身体が燃えてても気付けないかもしれないけどね(苦笑)


例えば、どこかの駅で起きた人身事故に、何を思う?…迷惑だとさえ考えない?

なら、それが目の前で起きたら?

鉄の塊に、人が轢き潰される瞬間を目の当たりにして…同じことを考えられる?

観測点の違いで、同じ事象が私たちの心から引き出す感情は…全く違う性質のものになる。

でも、どちらにしても結末は同じ…

忘れたフリをして、知らないフリをして、何もなかったみたいに…フラットに戻る。

人間の持つ心の自浄作用ってトコかな?
鹿さんもバカスカ殺されて大変だ(苦笑)

そのうち…
天然記念物→絶滅危惧種→絶滅。
そんな懸念を持ってしまうね。

一緒に世界も滅んじゃったりして。
ほら!やっぱシシガミ様っぽい!(しつこいw)

『希望』という言葉。
それは前向きで素晴らしいもの。

でも、切り口を変えてみたらどうかな?

それは手の届かない何かへの飢えや渇き、執着でもあって、望まない現状の拒絶であり、嫌悪であるとも言える。

その言葉で語る希望は…
はたして前向きであると言えるのかな?

私たちが言葉で表す概念は、様々な感情によって分解されて、色んなものと混ざり合い、エントロピーが増大して、本質が希釈されていく。考えようとすると量子論の本でも紐解けないような…深淵。

この不完全な在り方が『業』なのかもね。

気狂いを演じたハムレット…
私たちが演じてるのは何でしょね?

Frailty, thy name is human.
なーんて(笑)

うわー、随分と長文になっちゃった(^_^;)
強制終了しまーす!

ではでは、お粗末様でしたー(爆)
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