Hiroki

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのHirokiのレビュー・感想・評価

3.9
ヨルゴス・ランティモスの作品を表すなら「不穏・奇妙・不条理・ルール」。
ある世界に独自のルールを当てはめることによって一瞬で物語をファンタジーに変身させる。
完全に好き嫌いの分かれる監督。ちなみに私は好きです。

今作も急激な呪い(魔法?)のような得体の知れないものの登場で幸せそうな家族が崩壊。
崩壊させる張本人バリー・コーガンの不気味さといったらほんとに素晴らしい。
不条理に翻弄される父=コリン・ファレル、気丈に振る舞うが最後に膝の折れる母=ニコール・キッドマンもハマり役。そして娘役ラフィー・キャシディー初めて観たけど美しかった。これから人気でるなー。

世界観を作るためのカメラワークや音楽にも相変わらず非常に拘っていて良かったです。
内容的には疑問符のつく所もたくさんあるけど、まぁファンタジーですから…
あとはギリシア悲劇『アウリスのイピゲネイア』が元ネタらしくて、映画の定番“トロッコ問題”が潜在的に描かれているので考えさせられる作品にもなっている。あのコリン・ファレルの選択はないけども。

そしてラストシーンの娘がポテト食べるシーン。「好きなもの(ポテト)は最後に食べるんだ」と冒頭で語っていたバリー・コーガンが先にポテトを食べる娘を凝視している画。怖すぎます。世にも奇妙な…

何はともあれ楽しめました!

2018-108
Hiroki

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