かわとも

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのかわとものレビュー・感想・評価

4.1
聖なる鹿殺し

ですか…!
と、観てみたかった作品。

カメラワークが素晴らしい!
遠くから段々と近づく目線。それは誰のもの?ストーキングとも、神なる目線とも言えます。突き放した目線で彼らを見ています。

終始、バイオリンの不協和音が流れます。不穏なムードいっぱいです。

強い父権のもとに成り立っている一家。誰もが意見を言いながらも、父親に従っています。ボブを除いて。ボブは父親に反抗心を見せています。でも、それは息子としては当たり前の事。成長過程。

父親は娘を溺愛するも、会話が終われば娘はスマホ。母親は息子を溺愛です。微妙なバランスで成り立っているのだと分かります。

そんな彼らの中にマーティンが一石を投じるように現れる。

謎の少年ですが、スティーヴンの被害者らしい。

段々と本性をあらわすマーティンが預言者のように、スティーヴン一家に君臨する。

どーして病気?になるの?ってのはどうでも良くって。
大事なのはそれぞれの登場人物の立ち位置や動きだと感じました。

心臓外科として地位も名誉もある。しかし、脱ぎ捨てた術着のようにさっぱりと捨てられないモノを持て余してるように見えます。
父親として、自尊心が強く、独善的な面も強い。まぁ、ちょっとイヤなヤツでもあるんですよね。スティーヴン。

歩けないボブを抱えて歩いてみろ、と話すシーンは恐怖を感じました。だって、モノ扱いしてるようにしか見えなかったんですよ。
実は息子が憎いのだろうか。
通じない息子との心。秘密も分け合えない。

妻のアナはパーフェクトな感じ。怖いくらい。息子を溺愛するも、いざというときには、子供を犠牲にするしかないと、サラッと言うし、マーティンの足元にひれ伏したりもするんだわ。

娘だって。自分をアピールする。
そのときに主導権を握っている人物に。

家族は崩壊するけど、残されたものは生きるしかない。ダイナー?でマーティンの好物を食べるキム。それは…。意味考えたらキリがない。

彼らは目線しか合わせない。すれ違っていく。

家族ってなんだろう。
かわとも

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