もじぱん

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのもじぱんのレビュー・感想・評価

3.8
異常性、冷徹さは淡白な日常に混ぜることでとても映える。
静かな生活の中で、臓物や性的なアイコン、挙動不審な患者の息子、と違和感が織り混ざっていくと、絶妙に気味が悪いものに変わっていく。

恐怖は日常にスパイスとして少し織り交ぜるから怖い。全てが異世界だったら、それは恐怖ではなく驚愕とか違う感情になるんだろう。
もし自分が本作の父親(コリン・ファレル)だったらどのように行動するだろうか。何もできないかもしれない。ただ段々と常識的な行動から乖離してしまうのは理解できる


引きのアングルがとても多く、それが映画全体をとてもあっさりした印象に仕上げている。
それ故に没入を強いられる。自分から入っていかないと、人物の機微を感じ取ることはできない。そうして少しずつ、最初の家族関係と最後とは全く違うものになっていることに気づかされる。
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