ペコちゃん

ナラタージュのペコちゃんのレビュー・感想・評価

ナラタージュ(2017年製作の映画)
3.8
4回鑑賞。
1回目は、あれっ?という感じで終わり引き続き2回目を鑑賞。1回目よりも物語に引き込まれた。

小野くんをみて「こんな男ダメだー!」と思っていた印象が3回目では変わり、自分が小野くんになったような氣持ちで泉への態度に共感した。小野くんは、小野くんなりにとても泉が好きだったのだと思う。

映画を観終わった後は、自分の過去の恋愛を思い出した。そして今、10年近く片想いをしている好きな人の事を思っている。

印象に残った泉のセリフがあって、

一緒に居られるだけでありあまるほど幸せだったのに現実の距離を越えて心は期待したり要求したり欲張りになっていったと。

あぁ、まさしくわたしがこの10年間で経験した事は、そういう事だったんだと腑に落ちた。

人を好きになるってどういう事だろう。人を愛するってどういうことだろうかと考えさせられる映画だった。

自分を愛して初めて他人を愛する事ができるから自分の事を好きでいたい。と言っていた小野くんを演じた坂口健太郎くんくんのインタビュー記事が心に残っている。

人を愛する事ができる自分でいたいと強く思う。


追記:

ナラタージュ5回目の感想

葉山のズルさとダメさがこの2つのシーンによって見えてきた。

過去を告白する場面。
海岸を歩く葉山と泉。沈痛な面持ちの葉山に向かって泉は言う。「先生の力になりたいです」と。そんな泉に向かって葉山は言う。「自分の幸せを考えてよ」と。

もう1つの場面。

義父と会った晩、酔って車の運転ができなくなった葉山は泉を呼び出す。弱々しく心情を吐露する葉山に泉は言う。「わたしに出来る事があればなんでもします」と。そんな泉に対してまたしても葉山はこんな言葉で突き放す。「そんなことを言っちゃだめだよ」と。

てめーが言わせてんだろうがよ!がおぉ~!と怒りが込み上げてきた。葉山を演じる松本潤の表情がなんとも言えず…この葉山という男は自虐的である自分に酔った人間であり、頼ってくるくせに肝心なところでは、相手を突き放す。自分の都合の良いように相手を利用する。本人にそのつもりはないにせよ…という想像が生まれてきた。

「自分の幸せを考えてよ」と泉を突き放しつつも卒業式にあんな濃厚なキスをされたら氣持ちが揺れ動くのは当然だろう!

「先生、わたしの氣持ちを知っていましたよね」「どういうつもりなんですか?」と見舞に来た葉山に向かって恐い顔をしてかみつく泉。彼女の氣持ちはよく理解できる。

葉山の曖昧さ、自虐的な自分に酔っている感じに腹が立つのは、わたしが大学生の時に付き合っていた男の印象と重なる部分があるからに他ならない。友人関係に留めておけばよかったものを恋愛関係に持ち込んだがゆえややこしい心理体験をする事になった。自己不安定氣味な相手に対してわたしが助けてあげられるのではないかという母性本能に似た氣持ちが働いてしまったがゆえ…そんな想いは、傲りでしかなかったことが後々になってよくわかったのだが。今後このような人間を好きになる事はないだろうと教訓にもなった経験だった。

松本潤が好きであるがゆえ、またあまりにも美化された宣伝文句に洗脳されていた所もあったのか、葉山のズルさが最初はわからなかったが5回目にしてようやく見えてきた。