このレビューはネタバレを含みます
ナラタージュ…ナレーションとモンタージュを掛け合わせた言葉。人物の語りによって過去を切り出して、再現する手法のこと。
その題名の通り、文章的な雰囲気のある叙情的で静かな作品。
2006年度に『この恋愛小説がすごい』で堂々の一位を獲得した作品の映像化。
プロット自体はありがちなんですけどね。
原作よりも人間関係がコンパクトに収められていて、劇伴だけでなく蝉時雨や波の音だったり…聴覚からも感傷的な気持ちをくすぐってきます。
アンニュイだとか、ウェットだとか…
イマジネーションを刺激する『雰囲気』
本で言う『行間』
映画で言えば『間』
無限と有限。
空白を埋める作業を、自分がするか、他者に委ねるか…その違いも感じますね。
誰かを想って…
心が激しく動いたことは?
周りが見えなくなったことは?
恋愛にまつわるエトセトラ。
それは人によって違うでしょう。
『私には…あなたでした』
その台詞で、誰か思い浮かびましたか?
浮かんだとしたら、羨ましいことです。
結果はどうあっても…ね。
満たされるのは刹那。
途端に零れ落ちて、隙間ができる。
なんだか…本にも似てるかも(苦笑)
小野くんの小者っぷり…(*´-`)
こういう役が多いね、坂口くん。
でもまぁ、現実的だと思います。
愛に見えた何かが、ナラタージュを経て『今』に追い付いて…別のカタチに結実する。
雨降りから始まり、止まっていた時計…
時を刻み始めた朝焼け。
明けない夜はない…ですかね。
時を止めてしまう恋愛はしたことないな…
物語の中にしか存在しなそうだけど(苦笑)
与えられた痛みに、気持ちを実感したことぐらいは…ありますけどね。
恋愛偏差値が低いのか?
まぁ、可愛げはないかもね…(´ω`)
こういう静かな作品は、やっぱり本の方が没入できて気持ちが揺蕩うので好き。