のぞみ

ナラタージュののぞみのネタバレレビュー・内容・結末

ナラタージュ(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


夜から始まり、朝で終わる。
この恋が長い歳月をかけて、想い出になろうとしていた。
孤独な工藤にとって、葉山先生は光で、恋だった。
葉山先生にとって、工藤は奥さんとの後悔を癒してくれる逃げ道であり、恋よりももっと大事な存在。

一生に一度の恋でしたと思えるほどに、葉山先生を愛した。
葉山先生もまた、恋よりも深く愛していた。
たいせつだからこそきみにあげたいと手渡された懐中時計は、ふたりの時間を保存するように巻かれた分だけ時間を進め、止まったまま。
見ているだけでせつなくて、ふたりの距離感がもどかしい。

行定監督の撮る、淡くなめらかな映像は美しく、ピアノの音がふたりの関係を、行間が互いの想いを、せつなく痛いほど伝えてきた。

ラスト、忘れないようにと互いを求めあう姿はうつくしく、工藤の表情が小野くんに抱かれている時の苦しそうな表情ではなくて、しあわせそうなのが悲しくなるほどに愛しかなかった。
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