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マンハントのkotchanのレビュー・感想・評価

マンハント(2018年製作の映画)
3.2
本当に申し訳ないけど文句をタラタラ書いてますので、これから観るのを楽しみにされている方はご注意くださいませ。
深刻なネタバレはしていませんが気分を害するかもしれませんので、その時は読んだことを後悔してくださいませ 笑。

ジョン・ウー監督作品を初めて観た方には今作はどう映るのだろうか。少なくともファンにとっては待望の新作であり、オール日本ロケは大変喜ばしいし、W主演のひとりである福山雅治のジョン・ウー作品デビューも見どころであり、つまりは過剰な期待無しでは観れないということなんですね。
監督自身がおっしゃる通り、今作は"原点回帰"なのは間違いない。監督の言う"原点"とは紛れもなく80〜90年代の香港ノワール全盛期を指していて、至る所にセルフオマージュと言わんばかりに過去作を踏襲したシーンが目立つ。しかしながら、ウー監督の『男たちの挽歌』シリーズ(シリーズとはいえ関連性無しの作品もある)を飽きるほど観た僕からすれば過去作の焼き直しにしか思えず、原点回帰とは随分と使い勝手の良い言葉を選んだものだと悪態をつきたくなる。それほどに目新しさに欠け既視感満載のつぎはぎでは、もう新しいアイデアや斬新な演出が湧いてこなかったのだろうかと余計な心配をしてしまう。
日本でのロケということで様々な規制があっただろうとは推察するものの、火薬量も二丁拳銃も少なめで期待の福山雅治の二丁拳銃が無いのは問題外で、その代わりとして「2人で二丁拳銃」や「2人で一丁拳銃」はまずまずのアイデアかなと思ったけど予告で既に観てしまっているから新鮮じゃないし、白い鳩を無理矢理出している感が強いのも好ましくない。
かと言って全く面白くないわけでもなく、過去作を想起させるシーンは懐かしさ半分幻滅半分とはなりながらも割と楽しんでしまうのはジョン・ウー監督ファンの避けられない性なのでしょう。

キャスティングに関しては一部を除いて不満はあまり無かったかな。福山雅治はもう一度ウー作品に起用してほしいし、桜庭ななみのフレッシュな新人刑事はもっと観たかったし、福山とのコンビはシリーズ化してもいいんじゃないかとも思えるくらい良かった。原作の縛りがあるので難しいでしょうけど。
大阪ロケでありながら大阪弁を話すキャラがほとんど出てこない不思議や、全てが片付いてから登場する大阪府警の無能さは優しくスルーしてあげましょうね。

これから観ようと思っているジョン・ウー監督ファンは期待値を下げまくって楽しんでください。
今作を観た方で香港ノワール未見の方は是非とも
『男たちの挽歌』
『男たちの挽歌Ⅱ』
『狼/男たちの挽歌・最終章』
『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』
を観ていただきたい。

これらを観ずにジョン・ウーは語れない。




斎藤工の熱烈な信者は観ちゃダメ!
クレジットされてはいるけど信じられないくらいの端役であっという間に退場するので心を痛めるかも(^_^;) そんな役でも出演を決めた彼の心意気が僕はとても好きですけどね♫
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