〝追う者、逃げる者、魂の出会い〟というキャッチコピーだが…それほど魂の出会い感は無かった。
朝起きたら隣に女性死体が横たわっていて、警察から殺人罪で追われることになった弁護士ドゥ・チウ。刑事の矢村は彼を追っていくなかで、彼は無実なのではないかと感じ始め…というストーリー。
待ちに待ったジョン・ウー監督最新作！しかも日本が舞台！…のはずが…「これ、本当にジョン・ウー？」と思える出来だった。年に数回出会う、期待値爆上げで映画館に行き2時間後にションボリして映画館を出てくる作品がある（去年は打ち上げ花火とアニゴジだった）。まさか今年度一発目のションボリ作品が本作になろうとは…。
役者はチャン・ハンユーも福山雅治も良い。男らしい役がよく似合う。福山扮する矢村をサポートする新人刑事を演じた桜庭ななみはちょっと演技に難ありだったがエネルギッシュで好感が持てた。
それなのに、ストーリーや演出がことごとく退屈だった。とにかくドラマが長い。ジョン・ウーの名を冠する以上、多くの観客はアクションを期待して観に来ているはずだ。だが、本作は尺のわりにアクションが短く地味だ。本作を観る前に『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』という、欠点全てをアクションで補っている作品を観てしまっていたのもタイミングが悪かったのだが、本作はアクションが何の補いにもなっていないように思える。むしろ、「こんなに待たされたのにアクションこれだけ？」と逆効果になってしまっている感すらある。
一縷の望みを託したラストバトルは、一応本作で一番の盛り上がりを見せる。だが、『男たちの挽歌』や『フェイスオフ』はもっと盛り上がった。ジョン・ウー印が完全に裏目に出てしまい、なかなか評価ポイントが見つからないという羽目に…。
左右に座っている人が欠伸をするのもキツかった。気持ちは分かるが。
低評価をつけてしまったのは、期待の裏返しということで…。日本ならではの舞台設定や女殺し屋など、もっと面白くできる材料は揃っていたはずなのに、なんだかすごく勿体無い作品だと思った。
