Yoshishun

22年目の告白 私が殺人犯ですのYoshishunのレビュー・感想・評価

3.9
ツッコミどころはあるし、途中で真犯人は読めるし、エンドロール途中のラストカットは蛇足に感じる……

それでも画面に釘付けだったのは事実だし、役者陣の味のある演技も素晴らしかったとしか言いようがない。実は予告編も含めて1つの芸術作品であり、「騙されてる」という謳い文句から既に藤原竜也に翻弄されていたとわかる。

オリジナルである韓国映画『殺人の告白』は未見であるため、比較のしようがない。取り敢えず、本作がリメイクであることは考えず、またオリジナル未見であるが故に結末を知らないことを前提に観ることができた。

設定にやや無理はあるものの、現代日本の若者が利用するSNSやその他メディア機関への痛烈な皮肉が込められた社会派エンターテイメントでありながら、90年代と現代の映像表現を変えるといった視覚的な面白さも秘められており、冒頭で大体の経緯を説明した上でのストーリーの運びかたも中々予測がしづらく、中盤のどんでん返しまで息を尽かせない。

確かに犯人の動機が意味不明であるし、そもそも22年という月日の中で藤原竜也が犯人と名乗るにはあまりに若すぎる。なので、真犯人に関しては映画を観てれば予測がつく。しかしそれでも一瞬たりとも目が離せないのは藤原竜也のカリスマ的魅力や伊藤英明の正義感溢れるヒーロー的魅力があるからこそ。特に藤原竜也は、今回発狂やらキチガイさは控えているものの、不適な笑みといった表情の豊かさが本作に騙される一因となり得ている。

個人的にはもっと主人公の心の葛藤にも近い心理描写があっても良かったと思う。クライマックスではあまりにも存在感が薄れてしまっていたので、余計にそう思えた。

主題歌まで終始息を尽かせない怒濤の展開は👍。勢いや雰囲気で多少の粗を誤魔化しているようには見えるものの、如何にも邦画らしいサスペンスだったと思う。エンドロール前の電工掲示板のショットもかなり皮肉めいていて面白い。日本という国に1つの警鐘を鳴らしているようで爽快だった。


あとTwitterで"22年目の告白"というワードは検索しないほうがいいかもしれない。
もしかしたら自分のスマホだけかもしれないが、1番上に、本作の真犯人を明記したバカなユーザーが表示される可能性があるかもしれないからだ。
くれぐれもご注意を。
Yoshishun

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