ヒロシゲキガスキー

22年目の告白 私が殺人犯ですのヒロシゲキガスキーのレビュー・感想・評価

2.0
オリジナル「殺人の告白」は鑑賞済み、どうしてもオリジナルとの比較になります。

時効成立後、突如現れた連続殺人犯を名乗る男は事件を詳細に記した本を出版し、ベストセラーとなる。
一躍時の人となった曾根崎だが、刑事・牧村の執拗な追求は終わらない・・

日本映画の韓国映画リメイクはいくつかあるのだが、実は日本映画のリメイクではなく、日本の原作小説の再映画化と言うのが正しくて、
「黒い家」「さまよう刃」「容疑者X」がこれに当たる。
「黒い家」に大竹しのぶの様なキャラクターの女優は出てこないし、「容疑者X」に到っては、福山雅治が演じたキャラクター自体存在しない。
さらに、ほぼラストは改変しているのにも関わらず作品世界は壊さず、これも有りかな?と思わせてしまう韓国映画の力は恐るべしなんだが・・

この「22年目の告白」は純然たる韓国映画のリメイクである。
出版されている小説は原作ではなく、ノベライズなんでお間違えのないよう。
オリジナルの「殺人の告白」を観た人なら思うであろう
「このアクションシーン長いな」
「このコメディっぽい暗殺シーンいらないな」
「このカーチェイスくどいな」
というシーンは削られている。
このへんは後出しジャンケンだからこそ出来る改変と言うか、改訂と言うべきか。

削った部分は良いんだが、足した部分がうまくない。

名乗り出た犯人・曾根崎を演ずる藤原竜也がまずミスキャストである。
年齢設定に無理があり、まずそこで躓いてしまう。
キャラクターが劇画チックというか、漫画原作の登場人物の様である。
どう観ても回想シーンの犯人には見えないし、オリジナルになかった
「必要以上にゲスな奴」描写もミスリードが見え見えで鼻白んでしまう。

真犯人は誰なのか?曾根崎なのか?
という本来山場であるはずの場面は、予想に反して早く訪れる。

オリジナルの設定を一捻りした形で演出された場面は、オリジナル未見の方達は十分驚かれると思うが非常に消化不良である。
もうひとつ山を作った為に、一旦盛り上がりを下げざるを得ないのだ。

この山を越えた時点で観る側は犯人を消去法で割り出してしまう。
全くの無名の役者が犯人であるわけが無いのは、誰でも知っているんだから。

元戦場カメラマンでニュースキャスターの仙道を演じた仲村トオルの説得力のない演技にも、がっかりでこれもミスキャストとしか言えない。
殺人に理由を付けたがるのも日本映画の悪い所で、殺人犯の気持ちなんか解らなくて一向に構わない。
利己的で快楽殺人だったオリジナルの犯人のほうが、正直リアリティがあった。

ラストも正直スッキリしない、カタルシスが生まれないのだ。

犯人が「ああなって」しまっているからなのだが、だったらクライマックスで片を付ければ良かったんじゃないだろうか?

とりあえず異常犯罪者は藤原竜也、っていうキャスティングは今後十年禁止でお願いします。