えっちゃん

22年目の告白 私が殺人犯ですのえっちゃんのレビュー・感想・評価

3.0
阪神大震災の起こる1995年、東京では立て続けに5件の連続絞殺事件が起こる。警察の捜査虚しく2010年に相次いで公訴時効が成立する。
そして2017年、22年前の事件の犯人と名乗る男・曾根崎(藤原竜也)が事件に関する告白本を出版すると世間は大騒ぎとなった。

韓国映画『殺人の告白』(チョン・ビョンギル、2012年)のリメイクでありますが、2010年の刑事訴訟法の改訂を掛け合わせ、2010年から15年遡る(そして2017年からは22年遡る)1995年の4月27日〜28日をターニングポイントとして据えた物語が形成されています。
オリジナルは未見ですが、単なるリメイクというだけでなく、日本固有の事情も照らし合わせてユニークさを出しているところが優れていると感じます。

脚本も優れているのですが、その脚本の強度に耐えられる役者が揃ったこともまた当作の魅力です。
腕刺されても平然としてる伊藤英明に説得力がありすぎる、というか、肉体派の刑事という役どころが似合いすぎですよね。激昂するシーンもさることながら、後半にかけて知略張り巡らすような抑えた演技が見られたのもまた良かったです。
藤原竜也は言わずもがな、今日本でクセの強い役をやらせたらこの人の右に出るものはいないですよね。前半、比較的抑えめな演技をあえてされていたところの、伊藤英明とは対照的に後半どんどん狂っていく様子もまた良しです。
完璧主義的な変態っぽさを醸す仲村トオル、関西弁ネイティブの野村周平、被害者遺族というポジションを演じる夏帆、とほかの役者の演技も申し分なく、ただ伊藤英明と藤原竜也両名の演技が抜きん出ている、そんな印象を受けました。