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RWBY Volume2のtwinのネタバレレビュー・内容・結末

RWBY Volume2(2014年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

【概略】
人類を滅ぼす無機の生命体グリムと、それに対抗するための力「ダスト」を使って獲物を仕留めるハンター達の戦いを描くスタイリッシュ・アクション・3Dアニメーション・ムービー第2弾。

【あらすじ】
人類から差別を受ける種族ファウナス達を中心とした過激派ホワイトファングを率いる謎の組織の暗躍に危機感を覚えるチームRWBY。まだまだ半人前の彼女らは、その危機をいち早く察知したことに起因して、独自に調査を始めることにする。
そしてまた、ビーコンアカデミーの授業は進み、チームRWBYはプロのハンターに追従して、実際のハンターの任務に就くことになる。

【感想】
概要についてはVolume1に記載した通りのため、このレビューはあまり多くのことは書かないつもりであるが、まず前作で気になった点が、本作ではどのように解消されているかを伝えておきたい。

■前作で気になった点と本作の比較
・キャラクターの動きの違和感
 こちらは特に変わりなく、違和感を感じるシーンは多少ある。キャラクターの造形が二次元のアニメキャラクターに寄っているため、登場人物達の横顔が映るシーンなどでは殊更目立つ。特に目線や、表情などは横顔だとあまり動かないので、かなりの違和感。また、日常のシーンで物を掴んだり食べたりするシーンなどもどうしても違和感が発生する。この点は本作でも解消されていない(というより解消は難しいだろう)
 
・作画全般
 こちらはかなり向上したと感じる。特に背景の風景の作りこみが前作よりも一段とよくできているし、モブにしっかりとしたグラフィックが追加されており、違和感はかなり減った。とはいえ、メインキャラクター達と比べるとモブの手抜き感がかなり悪目立ちするため、そこはご愛敬。
 
・物語の起伏
 前作はメインキャラクター達の導入として描かれていたのに対し、本作ではRWBYとしても物語の大筋に触れる物語となっている。そのため、全体として物語の流れが一貫しており、TVアニメを見る感覚に違った前作と比べて映画感が増している。しかしながら、Vlumne1の冒頭で語られたRWBYの世界「レブナント」と少々乖離のある内容になってきた感じを受ける。
 というのも、本作ではグリムがかなりおまけ的な存在になっており、メインは平和な世界を脅かす謎の組織との抗争にシフトしているため、この物語は全体として何を描きたいのか? が見ていて曖昧になってくるのだ。この点は続編を観るにつれて解消していくのかなとも思うが、少なくとも本作までを見た限りでは少し取っ散らかった物語になってしまったかなという印象がある。
 
■本作で気になった点
・台詞量と場面のペース
 本作で一番気になったのはこの点。
 台詞の内容としてはアメリカンな感じがしてとても好感なのだが、いかんせん台詞量が多いうえにシーンの切り替えのペースが早く、内容を飲み込むのに苦労する。少し気を抜いただけでチームRWBYが何を目的として今何をやろうとしているのか、が分からなくなったり、いわゆる行間(台詞ではなく、キャラクター達の掛け合いの "間"や表情などから察しなければならない要素)が分かりづらいため、今一つメインの物語に没入できない感じを受けた。
 行間の表現は3Dアニメーションという題材上、かなり難しいことだとは思うが、その分工夫を凝らして欲しかったなと思う。このために、各場面においてメインキャラクター達にどのような感情が沸いているか? という考察であったり、彼らの人格と合わせて、どのような行動を起こし得るか? という予測であったり、映画を鑑賞する上での面白みというべきことがあまり楽しめなかった。
 
■本作で良かった点
・キャラクター達の背景が出てくる
 前作においても一定キャラクター達の過去は出てきており、彼らがどのようなルーツを辿って今に至っているかは多少分かるが、本作は個別のキャラクターに対してはより深くそれに接近する内容となっている。個人的には、初任務に赴き、「なぜハンターになりたいのか?」を問われたチームRWBYのメンバーが、それぞれ自身の内面と向き合い、そしてまた答えを得ることに苦心する様子が非常に好きだ。強力な力を持つとはいえ、お年頃の少女たちらしい葛藤が垣間見えるシーンでもあったし、まだまだ未熟な彼女らをアカデミーの教授がしっかり牽引していることを示すシーンでもある。
 
・戦闘シーン
 武器の変形のギミックや、巨大なバトルスーツに搭載された兵器の演出、格闘シーンなど、この点は非の付け所がない。物語の冒頭の食堂での戦闘シーンはさすがに笑ってしまったが、戦闘シーンだけ見るとあのボリュームと演出は素晴らしいと言わざるを得ない。(ルビーのセンブランスがかなりチート感がある...)
 個人的には戦い方として一番好きなのはワイスで、空中に魔方陣を展開して立体的に戦う様子が、優雅なワイスの見た目や性格とマッチしていて非常に良い。レイピアという非力な武器の弱点をダストを駆使することで補っているところも大好きだ。
 
・人間関係
 これはまさに洋画を見ている感じを強く受けた点。
 ワイスが突然現れたイケメンのネプチューンに惚れたり、ジョーンとピュラの甘酸っぱい様子など、前作と比べて人間関係がより複雑になってきていると感じる。ただ、そこに繊細さのようなものはあまりなく(その点がアメリカっぽいと感じられる一番の要素だが)、見どころとしてはあまり大きいものではない。この辺の描写は薄いとも感じられてしまったため、続編に期待というところか。(ちなみにブレイクとサンの組み合わせが一番好き)
 
【総括】
前作と比べて評価が低いのは、やはりストーリーに今一つ没入できなかった点が大きい。戦闘シーンだけを楽しむためならば大した障害にはならないのだが、続編がまだある作品ということで内容については深く知りたいと考えているので、この点は致命的。それこそTVアニメとして多少展開を緩慢にして欲しいと感じられる。

前作の見どころは失われていないどころか、むしろ洗練されているため、続編が気になるところは全く同じ。また、本作の終わり方は次作への布石を残す形となっているため、そこも含めて楽しみだ。
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