アベ

ギフト 僕がきみに残せるもののアベのレビュー・感想・評価

4.5
神経の異常により、随意筋肉が破壊される。
感覚はある。
だが、脚が動かなくなる。
腕が動かなくなる。
食事ができなくなる。
会話ができなくなる。
呼吸ができなくなる。

ただ、毎日死に近づく日々を本人も家族も医者も何もできない。
それがALS。

私の母は、三年前にALSで亡くなった。
私の人生最大の後悔は、母に色んなことをしてあげられなかったことだった。

あの残酷な日々から離れたくてずっとALSに関することを避けてきたが、社会人になろうとするこの今、もう一度向き合おうと勇気を出し見てきた。

ALS患者は、「自分が生きたい」と思うことと同時にどうしても「自分が生きることによって周りに迷惑がかかる」ということを感じる。
家族は、「生きて欲しい」と同時に、「辛い地獄のような日々」を迎える。大切な人が、色んなことをできなくなり、死に近づくのを見るのは本当にきつい。

だからこそ、スティーヴの強さ、周りの人への愛の深さに感動せずにはいられなかった。
ALSでありながらこんな生き方、家族のあり方もあったのだなと、
彼の生き方は死と向き合う人たちに多くの勇気を与えるだろう。

ただ、忘れていけないのは、このような幸せを感じられる闘病生活を送れる人もいれば、家族が崩壊する人たちもいる。
後悔がある人は、映画を見てもう一度向き合って、悩んで考えて、そして自分を許してあげて欲しい。

この映画を見てよかった。
初心に帰れた気がする。

「どう生きるか」
見た人はもう一度自分そして大切な人たちのことを考えるきっかけになるだろう。

最後に、私が遺族として伝えたいことは、
ALSを知って欲しいというのは、助けになる人が増えて欲しいというのもあるが、
ALSを知った人達が、生きている喜びを再認識し、自分らしい彩りのある人生を力強く歩んで欲しいということだ。

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