純朴な男が、元恋人を堕落から救おうとするメロドラマだが、ローレンス・ハーヴェイはあくまで狂言回し。
すべての場面に絡む豪華女優陣の個性を味わうのが、本作の正しい楽しみ方であろう。
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★ジェーン・フォンダ…まだ出演2作目の新人時代で、後年よりもムッチリしている。品と教養のない肉体派の魅力、そして哀しみをうまく表現しており、好感度が高い。
★キャプシーヌ…情に流れる役柄は凡庸なものの、エレガントな佇まいが、このテの娼婦ものでは異質に見えて面白い。
★アン・バクスター…南米女性には見えないが、『青いガーディニア』で見せたぶりっ子演技が、そのまま本作のおせっかいな役柄に置換されているようで、意外に自然。「私がふたり分愛するから…」という彼女の台詞は、アルモドヴァルの『ライブ・フレッシュ』で再利用されている。
★バーバラ・スタンウィック…娼婦映画で最も見応えを感じさせてくれるのは、実は因業マダムだったりするが、本作の彼女にはレズビアン要素まで付け加えられている。ゆえにただ威圧的というだけでなく、感情を爆発させる見せ場も。