フライ

サバイバルファミリーのフライのレビュー・感想・評価

サバイバルファミリー(2017年製作の映画)
3.8
突然電気に関わる全ての物が使えなくなると言う斬新な視点で描かれた災害と、笑い多めのサバイバル生活を描いたストーリーだが想像以上に面白かった。
日本人ならではの善し悪しを皮肉を込めながら上手く描いている上、ツッコミ所はあるものの、作品として伝えたい部分の演出として納得出来るだけにとても楽しめたし、コメディ作品で有りながらも考えさせられる奥深さに思わず感心。

小日向文世が演じるサラリーマンで亭主関白の頼りない夫と、深津絵里が演じる楽観的な妻と言う夫婦設定に個人的違和感を覚えながらも、スマホ命の子供達の大学生で息子を演じる泉澤祐希と、高校生で娘を演じる葵わかなの家族4人が、突然電気に関わる全てが使えなくなる世界でサバイバルをしながら、自給自足で生きる為には不便な東京から、妻の実家で何でもある田舎の鹿児島へ旅するコメディ作品。終盤突然毛色が変わるのも突飛で面白かった。

日本人なら殆どの人が経験している自然災害で感じた、世の中の便利さと言う名の歪さを思い出させてくれる、シュールで素晴らしい作品に思えた。特に電気に依存し過ぎているこの現代社会への皮肉とも風刺とも取れるストーリーは、中々リアルに描かれているので、衝撃を受けつつもある意味楽しく鑑賞できた。そこに便利になり過ぎた社会で希薄な関係になった家族を、突然不便になった社会に投げ出され助け会う事で家族の絆が生まれる展開に、色々と忘れ去られた大切な物まで思い起こさせるストーリーは胸に来るものも。

単なるコメディ作品として片付けるには勿体無い位秀逸な作品に思えたし、子供に説明出来る大人になる事の大切さを感じた。
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