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ジグソウ:ソウ・レガシーのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ジグソウ:ソウ・レガシー(2017年製作の映画)
3.6
 コンクリート打ちっ放しの密室で目覚めた5人の男女、目の部分だけがくり抜かれた銀色のバケツ、首に繋がれた太い鎖、最初に目覚めた者の悲鳴で他の者もこの深刻な状況に気付く。対面する壁には回転する鋭利なノコギリの歯が回り、凄い圧力で鎖に引っ張られる。スピーカーから流れるのは、10年前に死んだはずのジグソウの声。おおよそこのような設定で今回もターゲットたちは残忍なゲームにいきなり巻き込まれる。3D方式上映による『ソウ ザ・ファイナル3D』で一度打ち切りとなり、全ての謎が明示されたはずの物語は、7年ぶりにハロウィンの季節に蘇る。「お前たちは嘘をついてきた。魂を浄化すれば救いが得られる。嘘にまみれた日々を悔いろ、罪を告白せよ、真実のみがお前たちを自由にする。生きるか死ぬかお前たち次第だ」というのが今回のジグソーの信条であり、その主張は旧トリロジーと共通する。スピーカーの声の主は間違いなくジグソウだが、彼は既に末期ガンにより息絶えているはずである。ではその声の主はジグソウの狂信的な信者なのか?それともジグソウ自身なのか?観客の興味をグイグイ引っ張りながら、残酷なゲームは連鎖して行く。

 偶然と必然に彩られた死のゲームの巧妙な仕掛け、真っ赤な鮮血に満たされた死のゲームのスリル。ノコギリやナイフなどの鋭利な刃物はもちろんのこと、人体を破壊するような残虐な仕掛けが今回も要所に散りばめられている。脚を切断するモーター、バイクのエンジンで起動する螺旋状の鋭利な刃物など心底野蛮な処刑法には思わず目を背けたくなるが、中でも凶悪なのは空から降るナイフだろう。穀物の海で身動きが取れなくなった2人に対し、情け容赦なく鋭利な刃物が振り続ける光景は心底ゾッとする。7年前の完結編で3代目ジグソウの正体が明らかにされたものの、今作には前シリーズ7部作の登場人物は僅かに1人しか出て来ない。つまり4代目のジグソウは2代目でも3代目でもない第三の人物なのである。果たしてジグソウは生きているのか?それとも死んでいるのか?一見、折り目正しく時間軸は交差しながら、非常に複雑な展開を見せる。しかし10年前の出来事にも関わらず、ジグソウを演じたトビン・ベルがすっかり年老いているのには苦笑いを禁じ得ない 笑。7年ぶりとなる今作も残酷なゲームにはしっかり結びが見られるが、散りばめられた未消化な疑問には、まず続編ありきの製作者の欲が垣間見える。
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