Daisuke

ジグソウ:ソウ・レガシーのDaisukeのレビュー・感想・評価

ジグソウ:ソウ・レガシー(2017年製作の映画)
3.8
[狂気と共に]

ソウ。
一作目は、あのポスタービジュアルが今だに忘れられない新鮮な映画だった。

とはいえ、一作目で充分満足してしまった私は、次作からそのシリーズを見ていなかった。だいぶ前に「ファイナル」のレンタルが始まった頃、実家への帰省中にようやく一気見したのであった。
そこでこのシリーズの大きな魅力に気がつく事になった。

それは“ジグソウ”という男である。

一昨目ではそこまで感じなかったが、二作三作と続けていくごとに、この「ジグソウの物語」として大きな一本になっていき、とても興味深く引き込まれてしまった。

今作では、ジグソウの「模倣犯罪」のような場面からスタートする。
これはまさかジグソウの仕業なのか?それとも熱狂的な信者の誰かの仕業か?
オープニングから流れる懐かしのソウのテーマ曲と共に気持ちが高まっていく。

このソウという作品の構造として、ミステリではよくあるパターンが使われている。それは「A」で起きてる事件と「B」での事件後、このA,Bが交互に展開していくパターンだ。
事件のリアルタイム性と、事件後の検証が同時に展開される事で、鑑賞者の興味を持続させ続けるだけでなく、その構成自体の「時間のズレ」をトリックとして利用する事もできる。個人的にミステリやサスペンスで最も魅力的な部分だと思っている。

今回はこのズレをどう利用していたのか。序盤では「どうも最新版のソウにしては拷問器具が今風じゃないなあ」と思っていたけれど、、、、なるほどなと。
これ以上は是非とも鑑賞して確かめてほしい。

ジグソウという男。
彼はただのサイコパスや愉快犯ではない。
彼が行なってきた事は非道で常軌を逸した「狂気」そのものではあったが、そこには彼なりの哲学、美学があった。
だからこそファンが多かったのではないだろうか?

この作品では今までのシリーズをオマージュしている部分もあり、ジグソウを作り上げた制作者へのリスペクトも感じさせた。

そして、ラストの切れ味がとても良かった
(二重の意味で)

受け継がれていく

意思

遺産

それは

狂気と共に
Daisuke

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