井葉

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~の井葉のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 耳が聞こえなくなった男が再起するまでの感動譚なのかと思ってたら、当初思っていたものよりはるかに底が深い。

 これは難聴を扱ってはいるが、要は若者が成長し心の平穏、静寂を得るという話なのでは?
前半の二人での暮らしはそれぞれにとって大切なものでそれが全てだと思っていたが、やっぱりそれは若さ故の逃避行的なものでしかなく真に地に足をつけて生きていたとはいいがたいものだったと悟る。
久しぶりにルーに会って彼女が歌うのを見るシーンが本当に素晴らしい。もう見るからにあの頃と違う、生きてる世界も格好も、そして歌ってる曲は失恋の曲、しかもフランス語。フランス語だからルーベンには伝わってないのでは?と思ってると、それ以前にほぼ曲として聴こえていないということが明らかになる。何重にももう決定的にあの頃のようにはいられないと突きつけられる。そこからあの別れのシーン。素晴らしすぎる!!

 そしてやっぱりリズアーメッドがハマってる!彼は絶望顔が本当に似合うし根の優しさも見える人だからこれ以上ないぐらいこの話にあってる!!
 なんとなくと思って3Dヘッドホンで観たんだけど、正解だった!というかヘッドホンとかちゃんとした音響で観ないと意味がない。音の演出が上手いから主人公の絶望を追体験出来る。確かにこれが24時間ずっと続くのは絶望だと思う。そして最後に訪れる静寂。ここは音の演出も上手かったけどリズアーメッドの表情の作り方とかが上手かった!!
いや、マジで痺れた!素晴らしい!!
井葉

井葉