わたもち

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のわたもちのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

突然聴力を殆ど失ったドラマーの物語。

サブタイがダサくて蛇足なのはご愛嬌。
ご丁寧にわざわざ作品のテーマを言葉にしなくても…と思うけど、タイトルSound of Metalでこのジャケ写だと確実にスルーしてた案件だしまあ文句は言えない。

あと、何気にFilmarksのレビュー丁度本作が1000本目。レビュー漏れシリーズが少なくないので実際の鑑賞数とは異なるけど我ながらよくもまあこんなに観てきたなあと。これからもまだまだ沢山名作に出逢いたいので皆さんどうぞ宜しくお願いします(^^)


▼感想
没入感が凄い。
観客が主人公の“耳”を追体験できるかのような演出がハマりにハマってる。
急に周囲の音が聴こえなくなるところは一緒に不安になるし、手術成功と知った時は思わず笑みがこぼれたし、だからこそその後聴こえるようになった“音”に対しての彼の感情も痛いほどに分かる。

音響設備の良い映画館あるいはサブスク×ヘッドフォンでの鑑賞だとさらに没入感マシマシになりそう。

『シカゴ7裁判』観て、うへ〜やっぱりアカデミー賞ノミネート作品は違うわ〜おもしれ~!!と興奮したばかりでしたが、またやられました。本作もむちゃくちゃ良かったです。


▼リズ・アーメッド!
とにかくもう主人公を演じたリズ・アーメッドが素晴らしかった。

リズ・アーメッドって顔も名前もどこかで見たことあるなーとずっと思ってたけどSWのローグワンか!

チャラめな外見からは想像できんくらい恋人ルーにむちゃくちゃ一途なのもポイント高いし、坊主頭にしてもカッコいいのはズルい。


▼“聴こえる”とは
ご丁寧にサブタイトルに盛り込まれている通り、“聴こえる”ということについて実に考えさせられる作品。
単純に 音が聴こえる/聴こえない の2択なんかではない。
あれほど渇望していた“音”が聴こえたというのに、心から喜べない。それは彼の思っていた“音”ではなかったから。
かといってドクターを責めるわけにもいかない。やるせないなあ…誰も悪くない。。。

それにしても、「耳が聴こえない」と突然言われて真っ先に抱きしめてあげるルーちゃんはむちゃくちゃ良い子だと思う。序盤だったけどちょっと泣きそうになったもん。


▼良い画がたくさん
印象に残るシーンが多かった。

すべり台での“交流”シーンも手話のアルファベット早手(口ならぬ)言葉もドラム教室もジョーとの決別シーンも意味不明な全裸女(陰毛への謎のこだわり)のタトゥーも素敵でした。

何もない部屋で一人ぼっちにさせられて何もしない時間。
あれこそ自分自身と、耳が聴こえなくなった自分と向き合い、受け容れていくための時間だったのかな。

ただ、一番はなんといってもやはり主人公の最後の選択とその時の顔!
リズ・アーメッド、役者だなあ。

Sound of MetalというタイトルもMetalのダブルミーニングが効いててセンスが凄い。


▼綿餅トリビア
リズ・アーメッドは『天気の子』で高井刑事(日本版は梶裕貴)の英語版吹替を担当したらしいです。
以上!
わたもち

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