つかれぐま

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のつかれぐまのレビュー・感想・評価

-
難聴の主人公を体感する「音響」。その彼の主観と客観が劇的に切り替わる「編集」。オスカーを受賞した2部門が、そのまま本作の見所。

タイトルが秀逸だ。
メタルで失った音と、手に入れた音。
全く異なるこの二つを示す冒頭と結末が強烈な皮肉だ。いくら金を積もうが、必要な音と不要な音を瞬時に切り分ける脳の役割は果たせない。hearと listen の違いだ。アンチエイジングに大枚をはたいたり、違法なドラッグで意識を上げたり、成長の為に何かしていないと落ち着かない強迫観念にも通じた話。

ルーベンが通所した施設を、薬物やアルコール依存を断つ施設のよう見せる。(本人に非が無い)障害と依存症をタブらせるという、かなり思い切った演出だがそこに抵抗はなく、観る側には現実味が増した。

ラストシーン、バッドエンドにもハッピーエンドにも見えるルーベンの絶妙な表情。何もしない≒立ち止まることで「きらめき」を見つけることができれば・・「ソウルフルワールド」のように。そう願わずにはいられない。