@第七藝術劇場
「好き」の前には私と社会の壁があり、私とあなたの壁があり、私の中に存在する私への壁がある。西北西に向かって祈る時間よりも大切なあなたを想う一瞬を信じることが出来た時に人は孤独から救われるのかもしれないと思ったけど、私の磁場はまだ狂ったままだ。辛い。
3人の女性それぞれの心の描き方がとてもよいからこそ、見た目(人種ということではないです)や小物類の使い方がステレオタイプというかちょっと恥ずかしい感じだったのが残念。それも計算の上で観客側に示してきているとしても、クールな女=大型バイクにライダースジャケットとかいつの時代ですかと思ってしまった。殴られてるのに一切助けないバーテンとか貸切プールとか、細かいところが気になってしまったのも事実。
あとこれは以前に観た別の作品でも思ったけど、同性愛者への嫌悪感を持つ人の台詞が雑。人が人を好きになること、人が他者を想うことがテーマなのであればそこをもう少し丁寧にしなければ作品の示したい方向が全部その台詞に持っていかれてしまうと思う。
主演3人の名前にも意味があるのかなと思って調べたら、ナイマ=静けさ・平和という意味らしい。アイとケイは愛と恵なんやろか。
気になるところは多々あれど、いわゆる多様性という曖昧な定義を曖昧なままにせず、人は「個」であることをきっちり描き切る作品はあまりないと思うので観てよかった。さて、わたしの西北西はどっちだ。