もけ

アヴリルと奇妙な世界のもけのレビュー・感想・評価

アヴリルと奇妙な世界(2015年製作の映画)
4.0
世界観の作り込みが素晴らしく、ジブリ作品ぽいモノが出てきたりしつつもストーリーはむしろ藤子F先生が描きそうな印象。
つまり、面白かったです。

主人公のアヴリルとその家族が科学者一家で当然話も科学に絡んだものになるんだけど、しっかりまとまっているし説教くさくなく子供にもわかりやすいバランスで文明批判があるのも好印象。
この「わかりやすさ」と「メッセージ性」の共存、諸々の要素の構成の仕方が個人的にはF先生っぽいなぁと感じたところ。

フランスらしくバンド・デシネのようなビジュアルでキャラも日本人でもすんなり馴染めるもので見やすかったんだけど、アヴリルが劇中「尾行するならもっと美人の方がよかった」と言われるくらいのルックスだというのが良かった。
決して魅力を振りまくタイプの主人公じゃないんですよね。
でもその分意志の強さなどを描く事で人間的魅力が感じられるようになっていくのがいい。
物語の中で成長もしていくしね。

画面の密度も濃い。
ルックから動きまでしっかり統一感があるので3Dモデルを使っていたとしてもちょっとわからないし、全部手描きならそれはそれでさらに凄い。
その上で画面の細部までガッツリ描き込まれてるから観ていてとても楽しいんですよ。

SEもBGMも良かったなぁ。

脚本もウィットに富んでて笑えるし、作り手のやりたい事と楽しませようという想いが綺麗に合致した作品だと思いましたよ。
テンポも良いし観ていてストレスを感じる事が全くなかったです。

この作品、日本ではソフト化もされてないしカリコレ上映後の予定は立っていないようなので、観てみたいという人は是非声を上げていってほしい。



(ツイッターに書いた感想をコピペして再構成)
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