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荒野にてのmotioのレビュー・感想・評価

荒野にて(2017年製作の映画)
4.3
静かな映画
「ガラスの肢」とも称されるサラブレッドの脚は、大きな傷がつくと予後不良とされ、その命と共に役目を終える。
馬の寿命は25年から30年あるのに対して、競走馬としての人(馬)生は短く、引退後の多くは(日本の場合)殺処分されているそうだ。
ボニーは言う「競走馬を愛してはいけない」と。

チャーリーはピートを連れて旅に出る。
父という存在の喪失に強いショックを受けたため、命に対する執着が無謀な旅へと向かわせたのかもしれない。

馬と人とは何処まで分かり合えるのだろうか。
チャーリーはピートを愛していただけではなく、チャーリーと「一緒にいる時の自分」をとても大切に思っていたのだろう。

チャーリーはピュアだ。
それだけではなく、純粋さのほかにも、純朴や愚直といった言葉にはそぐわない、美しさを纏っていた。

映画からの帰り道、どうして美しく感じたのかについて考えながら歩いた。
甘えていなかったから、だと思い、信念があったから、だとも思った。しかし、はっきりとした解釈は見つけられなかった。
ただ、美しい人や行為は、周りを清らかにさせてくれる。

成長には傷が付きものだ。
チャーリーは再び走る。
立ち止まり、振り返った時に見えていた景色は、きっとまだ澄んでいただろう。