ぴろぴろ

荒野にてのぴろぴろのレビュー・感想・評価

荒野にて(2017年製作の映画)
4.0
『さざなみ』の監督作品という事で鑑賞。
馬と少年の映画は当たりが多いかも。
唯一の親戚である叔母の居場所がザックリとしか分からないまま、唯一の友である競走馬“ピート”とともに、ポートランドからワイオミングまで旅をするロード・ムービー。 あまりに雄大で広大なアメリカの荒野の中を、ひたすら叔母を目指す。
天涯孤独な15歳の少年チャーリーにとって唯一の心のよりどころであるピート。
「電話しようと思った。 でもしなかった。 元気に暮らしてると思っていて欲しいから」 ここが一番ぎゅっと来た。 プライドなのか見栄なのか、誰にも弱みを見せたくない、知られたくないという気持ち。 何でもない事の様に、平気なふりをして、精一杯尖ってみせる。 心を開けるのはモノを言わないピートだけ。
人並みに悲しかったり寂しかったりするのに、誰かに頼ったり甘えたり、それを表に出せたら楽なのに、出来ない、出来ないんだよ。
チャーリーの過酷な旅は危険だし無謀だけれど、逆境の中諦めないで自分の居場所を探し求める姿は痛々しくて、無力故に その無謀さによる犠牲が大き過ぎる。 あのシーンは思わず声が出そうだった。
チャーリー役のチャーリー・プラマーが多感で繊細な少年を演じて、瑞々しく寂しげな横顔の表情が、どことなくリヴァー・フェニックスを思わせる。
15歳の少年に戻れた瞬間に涙が出た。
この先、チャーリーはどんな人生を歩むのだろう。
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