あずき

荒野にてのあずきのレビュー・感想・評価

荒野にて(2017年製作の映画)
5.0
人はひとりだ。

苦しくなる。

寝る場所も食べ物も体を洗うことも
それに何より
大切な人をうしなって
誰かの胸で泣くことも
なにひとつ手に入らない。

これが貧しいということの
圧迫感なんだ、と思う。

そして社会的な手続きの外に
生きている両親をもった場合に
子供がいるのは
こういう景色の中なんだということ。

明日のことでなく
今日生きていられるかを考えなくてはならない。
その苦しさ。

戦争になったり
何かが起きたら
私たちはいつだって
そこに逆戻りすることになる。

チャーリーはそれでも
最後の人間性を手放さなかった。

生きるために走るのではなく
走りたいから走っている
ラストのチャーリーは
やっと誰かとつながって
生きられる希望を取り戻している。

私たちは本当はいつだって
彼のように
この体ひとつで
生きているのだ。

体ひとつだから
誰かの愛が支えなんだ。
あずき

あずき