終戦によって華族制度が廃止され、いわゆる没落貴族となった名門安城家。
いよいよ家計が立ち行かなくり邸宅を手放すことにして、最後の思い出に舞踏会を開く。
プライドの高い出戻り長女、女にだらしない長男、時代の変化に気持ちが付いていかない初老の当主、その中で一番若い次女だけが現実をしっかり見据えて奔走する。
20代の原節子が健気で可愛く、華がある。
華族と言えば昔の藩主だったりする訳で、当主が執事から「殿さま」と呼ばれているのも理解できる。
しかし、当主には今までの特権階級から平民になり自由競争の中で生きていく不安が重くのしかかる。
太宰治の「斜陽」もこの作品と同じ1947年発表。
大日本帝国憲法から日本国憲法へと日本が大きく変わっていった、その一面がよく分かる作品でした。
それにしても脇役ながら殿山泰司はこの頃から既に殿山泰司だったのだなぁと納得。