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あゝ、荒野 前篇のsallyのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
3.3
寺山修司の唯一の長編小説を映画化した作品。前編だけでも157分あると聞いていたので、覚悟して本編に臨みましたが、これが長時間を感じさせないほど、良く出来ています。本編のリズムがいい訳ではありませんが、飽きることなく見ていられます。
所々、描写的に、エロ、グロも多いですが、逆に笑わせてくれるコミカルな部分があります。
寺山修司さんの小説だけあって、舞台は新宿で、殆ど新宿でロケされているので、新宿に詳しい人は、見ていてある意味面白い。
また、ある意味映画の内容がボクシングって言うのも寺山修司さんらしいかな、お話は、これから開催される東京オリンピックの後のお話と言う設定ですが、しかし、昭和の匂いも残しつつ、2021年の舞台なのですが、1960年代を彷彿するなんか懐かしさもあります。
また、出てくる役者さんも考えたよな、初めになぜ、ヤン・イクチュンが出ているのと思いましたが、やはり、ヤン・イクチュンの演技は素晴らしいな、ひとつひとつの表情など天才と言う言葉は使いたくありませんが、やはり、凄い俳優さんですね。菅田将暉もこの作品の為に、ボクシングをみっちり習ったのでしょう。恰好だけではなく、シャドーや試合のシーンなど、見ていて、気持ちがいいよな、タイトルの「あゝ、荒野」なんですが、本作をみて、人間誰しも生まれて生きていくには、荒野を歩いて行かねばならないと言う意味なのかなと本作品を見て思いました。
後編も長編で全部一気に見ると5時間以上はあるみたいですが、後編もみたいな、寺山修司さんが本作の出来を見たら多分、満足されるのではないでしょうか。
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