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あゝ、荒野 前篇のthe8thfloorsのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
3.8
前後編、しかも前編だけで150分超えということで、「長いな…」と覚悟しながら見たのですが、全然長さを感じませんでした。

原作にどの程度沿っているのかは分かりませんが、かなり現代に即した設定と展開になっていると思いますので原作のことは一旦主役の二人と主要キャラのこと以外は忘れたほうが引っかかりが少ないと思います。

3層位の話が交差しながら展開していくので、段々「大風呂敷」ということばが脳裏をよぎりましたが、前半の終わりかけで一気にギュッと収斂していく速度感がありました。少し都合が良すぎないか?と思いもしましたが、それはまあ、後編に期待ということで…自殺防止サークルのくだりは完全に別の映画のテイストを感じました。フェスに突然天井桟敷らしきステージが展開したりなど、謎演出にも少しひっかかりました。

2021年設定なのですが、4年後にもスマホニュースのインターフェースが古めかしいだとか、サガミオリジナルが果たしてこの時点でも0.01で留まっているのか?オリンピックに向けてメーカーが0.01の壁を突破しようと頑張っていると聞いたが…など、しょっぱなから節々で差し込まれる2021年設定に、本筋とは関係のないノイズを勝手に感じてしまいました。

しかし、そんな揚げ足取りを凌駕する主演二人の熱演に圧倒されました。シンジの身体の誠実さと、ケンジの身体の頑なさ、二人のキャラクターが生き生きしていて、キャスティングの采配の妙を感じました。段々身体もボクサーとして完成されていくのも凄みがあってよかった!菅田将暉の若い身体を魅力的に残したという点でも、後々大事になる作品ではないかと思います。
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