土屋ノリオ

あゝ、荒野 前篇の土屋ノリオのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
4.3
今も多くの映画監督やクリエーターなどに、その影響力を与え、47歳の若さでこの世を去ったマルチクリエーター寺山修司の原作を『二重生活』の岸善幸監督がメガホンを撮った本作。原作の昭和な世界から近未来(2020年の東京オリンピック以降の新宿)へと舞台を置き換えているのだが、原作の持つ骨太で硬派な世界観が生かされている。菅田将暉が迫真の熱い演技で作品を牽引して行き、『息もできない』の監督・主演であるヤン・イクチュン、ユースケ・サンタマリアなどを配置した脇役に存在感があり、物語に厚みを加えている。近未来の日本の縮図を想像した場面の面白さや、カットなどのテンポもよく、カメラワークも的確。後篇も上手くまとまれば、今年のベストワン候補の作品。
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