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あゝ、荒野 前篇のmuraのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
4.3
でんでん演じる老トレーナーがふたりの新人ボクサーを見て言う…「毎日おもしれぇな」。それはこっちのセリフでもある。ホント「おもしれぇな」。2時間半があっという間。残り2時間半もあっという間の予感。

少年院から出てきた新次。仲間たちの裏切りに憤るが、その感情をぶつける術がない。一方で、床屋で働く健二。吃音で無口。変わりたいと思うが、その術がない。そこに出会うボクシングのトレーナー(「片目」と呼ぶところがいい)。ふたりはボクシングを始め、やがて「新宿新次」「バリカン健二」としてプロデビューを果たす…

新次と健二、新次の恋人の芳子…。スポーツ、友情、恋愛、家族…。ありきたりな青春ストーリーかと思いきや、どうも様相が異なる。

街中に見られる「対テロ阻止行動地区」の掲示。政府が推進する「社会奉仕プログラム」。若者たちが計画する「自殺防止フェス」。社会のなかに不穏な空気が流れている。まさに「荒野」か。

さらに3人にとっては、家族との関係が「荒野」でもある。その「荒野」のなかで、ふたりはボクシングに出会う。それだけで十分に感動的。

そして、これから「荒野」にどう立ち向かうのか、「荒野」からどう脱け出るのか…後篇が楽しみでならない。

しかしこの話にモロ師岡となると、どうしても『キッズ・リターン』を思い起こす。それはそれで大好きなんだけれど。

で…、芳子役の木下あかりのボディがナイスだなと(笑)
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