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アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男のsugar708のレビュー・感想・評価

4.0
アイヒマンやアウシュビッツ裁判について
事実を基に作られた映画は
「顔のないヒトラーたち」
「アイヒマン・ショー」
「ハンナ・アーレント」
「アイヒマンの後継者」
など多数ありますが、どれも立ち位置が違うものなので映画としてだけでなく非常に勉強になるものが多いです。

本作品はアイヒマン逮捕の影の功労者であるフリッツ・バウアーについて描かれたものですが、それと共に同性愛についても描かれているのが印象的でした。

部下であるアンガーマンが同性愛の罪による求刑について相談した際に「175条とナチとは関係ない」として厳罰を求めたシーンは一見、彼の法の番人としての非情さにも見えるのですが

それは、彼が自身のアイデンティティーや感情で人を律するのではなく、誰よりも公平で強い正義感の表れなんだと思います。(本来は罪に問われる謂れのないものという点を忘れてはいけませんが)

アンガーマンは架空の人物のようですが、恐らくバウアーの若き日の投影なのかなと考えるとラストシーンは非常に印象深い作品です。
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