ベルサイユ製麺

兵士A 七尾旅人のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

兵士A 七尾旅人(2016年製作の映画)
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レビュー400本目の記念?に、初めて準新作じゃない物を取り上げます!そもそも劇映画でもないです…。filmarks、やるな!

『兵士A』
七尾旅人、初となるライブ映像作品「兵士A」。断髪し、1人目の戦死自衛官に扮して描き出す、およそ100年間に及ぶ物語。ほぼ新曲のみで構成され、「CDというフォーマットでは収め切れなかったニューアルバム」ともいえる、衝撃の3時間。〈ホームページより引用〉

私が最も敬愛するミュージシャン七尾旅人さんの特殊ライブの記録作品です。

七尾旅人、実はデビュー当時はピンと来てなかったのですが、石野卓球経由で興味を持ち購入した2枚組のセカンドを(高いし勿体ないから)繰り返し聴いてるうちに、ある瞬間急に全てが飲み込めた気がして(思いもかけずエニグマ解読した気分!)、まるで彼の言葉と音像の全てに自分が内包されてしまった様な感覚に…。それから更に何度も何度も何度も聴いて、その詩を血液に乗せて巡らせ、曲と同じBPMで鼓動するようになる頃には、音楽作品は全て“七尾旅人”と“それ以外”だと思えるようにすらなってしまったほどです。(…今はもっとちゃんと距離感を図れてますよ!)
大切は人達には、いつも彼の作品をプレゼントしました。(なんと、他の人にも自腹でプレゼントしてくれた人もいて…ちょっと泣いてしまった)
アルバムの発売日には必ず都心のタワーレコードに行きました。彼の作品を買う人を見たかったから。『911fantasia』の店着日、レジ列の隣のレーンに並ぶ、多分一回り以上歳上の御婦人、私が旅人のCDを持ってるの見て微笑んでくれた。その時マジで、世の中ちょっと良くなるんじゃないか?と思ったのです。実際は信じられないスピードでどんどん悪くなったんだけど。

彼の音楽の魅力については…ここでは一切語りません!そんなグルメ漫画みたいな器用なこと出来ない。更に、本作『兵士A』の事も語りません。シリアスでヘヴィで、しかも過去の代表曲もほぼ演奏されず…。コア層以外にはなかなか手強いと思います。ギターを抱えた兵士とVJの映像だけで戦場がイメージできる様になるにはそれなりの鍛錬が必要かと…。「そういうのがあるんだ。いつか見るかもね…」で充分。
でも、こんなメチャクチャな書き振りでも、もしちょっとでも気になっていただけたなら、例えばYで始まってUで終わる動画投稿サイトなどで、代表曲『Rollin’Rollin ‘』や『どんどん季節は流れて』『圏内の歌』、更に奇想天外なライブアクトなどを観て頂けると嬉しいです。霧のように小さく無限の広がりを持って浸透する声を。人々に担がれながら斉天大聖の様に移動する彼を。余震の続く中、空気を震わせ続けた歌を。

で、今年の12月に6年半振りにアルバムが出ます!良かったら、どんな方法でも、どんなに断片的にでも良いので聴いてみてください!…それが書きたくて、急に思い立ってレビューにねじ込んだので、いつも以上にガタガタな文章になりました…。出来れば “770”本目のレビューに持ってきたかったけど、それまでやってるか不明だし…。
新しいアルバム『stray dogs』、聴いて聴いて聴き倒して、更に次のアルバムが出るまでには、自分も少しでも世の中良くなる様に動けてたら良いなと思ってます。割とマジよ。

“なんだかいい予感がするよ”。