天下の超かぼちゃ王大将軍

BLAME!(ブラム)の天下の超かぼちゃ王大将軍のレビュー・感想・評価

BLAME!(ブラム)(2017年製作の映画)
4.5
「削られながら今を守る。前に進んで明日を築く。」

それがいつ始まったのかは分からない。
システムで管理される都市の中に生きてきた人間たちは、
そのシステムにより排除された。
“違法居住者”として認識された人々は排除され、
人の管理を排した都市は、無限の増殖を始めた。
それはもう、記憶に残らない遠い過去の話。
人は既に、ゴキブリのように隙間を這い、都市の目を盗みながら生きる害虫。
駆除から逃れながら生きてきた人間たちは数を減らし、
もはや他の集落の存在を認識できないほど孤立していた。
滅びゆく集落の少女、「づる」は、仲間たちとともに狩りへ出る。
集落の食料はもう尽きる。
大人たちの静止を振り切り、少年少女たちだけで巨大な迷宮と化した都市を探索していた。
しかし、都市の監視塔に見つかり、人間を駆除するロボット、セーフガードに襲われる。そこで、霧亥(キリイ)と名乗る男に出会う。
人間だと言うその男は、づる達の知らない強力な武器を持ち、セーフガードを一掃する。霧亥に救われたづる達は、彼を集落へと連れて行くのだが・・・。

■「こんな作品あるとは知らなった」

ネットの定額動画配信サービス、Netflixにて。

本作、Netflixのオリジナルアニメで、劇場公開もされてるらしいけど、
まぁ、これからひとつの主流になっていく一つの製作⇒配給の流れやね。

デスノートのハリウッド版もNetflixやし。

さて、本作、予告を見て「ナニコレ面白そう」って思って観たんだけど、面白かった。

「クールジャパン!」って日本の政策で海外に売り込もうと頑張ってるけど、
個人的に感じるクールジャパンのベクトルってコレやなぁって思った。

別で言えば、攻殻機動隊とか、カウボーイビバップとかさ、
わりと大人向けのダークでシリアスでシニカルな路線?

欧米でも同様のモノってあるんやろけどさ、
ちょっと違うつーか、脳筋より精神性つーか、わびさびつーか。

こんな、妙な感覚があるのって、日本で生まれたエンタメコンテンツの一つの形やろと思う。

で、本作にもその感覚があってさ、けど、
この映画の原作、1997年から2003年に「月刊アフタヌーン」で連載された漫画なんやてね。

知らんかった。

いや、もしかしたら知ってたかもしれんけど、スルーしてたわ・・・。

いやぁ、こんなんあったんやなぁって思った。
漫画読もうかなって。

よくよく考えたら、日本は週刊誌があって、月刊誌があって、
漫画が大量に生み出され、終わって、生み出されを繰り返している。

そら、知らない漫画の方がほとんどで、
本当は好みかもしれない漫画も、触れずに終わっていくことは多くあるんやろなぁ。

それを、どういう経緯か分からんけど、
Netflixっていう新しい媒体が拾って、再度スポットあてたってのが面白いなぁって思った。


■「観たらいいと思う」

感想らしい感想はほとんどないつーか、見たら分かるというか、
観ても分からんというか。

振り返ると語る事はあまりないんやけど、
なんか流れに呑まれて、雰囲気の波に乗って観た映画って、
割と語ることが無いけど面白かったとしか言えない事がある。

でもそれが面白いの一つの形というか、本質だろうとも思う。

面白さなんて理屈じゃないからね。

映画のメインストーリーとしては、ほんと大したことやってないというか、
無いようなものというか。

けど、世界観一つで包み込む力強さと奥行きがあれば、
そこに感じる可能性は見手の想像次第で膨れ上がるし、
映画が多く語らなくても、映画が終わった後も続いていく。

これは日本のマンガの真骨頂と言うかさ、
まぁ、日本人がこういうの見るの慣れてるってのもあるやろけどさ、
毎週出てくる漫画とかで、全く分からないけど次を楽しみにする感じ?
思わせぶりだけで乗り切る、におわせるだけで乗り切る。

洋ドラマが割と最近そんな感じ多いけど、
もともと、日本のマンガの十八番やんね。

なんで、何が面白いのかもわかってないんやけどさw、
面白かったよ、本作。

唯一ハッキリ言えるのは、この映画CGアニメで、
個人的にアレルギーがある手法なんやけど、気にならんかった。

キングダムって漫画のアニメ化の際にさ、糞みたいなCGアニメ化されてしまって、
CGアニメ糞だって思ってたけど、違和感はあるけど、長所も見られたわ、今回。

アクションシーンと言うか、大きな動きはCGの方がダイナミックやね。

対して、小さな動きは妙にスローに感じるというか、間が多いというか、
あと、表情が硬いという言うか。

ここさえ解決してくれればなぁ。

本作ではCGアニメの可能性を感じた。

もうひと世代先に踏み切られると、イイものになるかもしれない。

■「守るだけでは削られる。前に進まないと」

この映画のストーリーは、日本の映画やゲーム、アニメなどの
エンタメコンテンツの現状とよく似てると思った。

かつての隆盛をから変わり、衰退期に入って、
減る量を減らすことに腐心して、自分の足元が崩れないように守ろうとして。

けど、徐々に周りは崩れていって、それを抑えようと必死になるけど、
少しずつ崩れていく。

面積は時間とともに削られていき、待つだけしかない。

日本のすべてのメンタルに通ずるところがあるかもしれないなって思う。

Netflixがこの漫画にスポットを当てたのは、
経緯がどうであれ、それを拾ったフロンティアスピリットは日本に足らんもんやと思う。
何も新しいものを生み出す事だけが開拓ではなく、
過去を掘り返して、捨てられていたものをもう一度蘇らせるのも含めて。

簡単に言うけれど、日本の土壌ってこれをあまりやらないよね。

あくまでヒットしたものを吸い尽くすというかさ。

ハリウッドの凄いなって思うのはさ、
監督とかが、十何年も映画化を望んで企画温めてさ、それが実現するところ。

本来、日本のクリエーターもそういうのを持ってるんやろと思うけど、
拾って具現化する道が無いんやろな。

netflixがまさにそうでさ、日本はTVと紙媒体が主流でさ、
それらの既得権を守るために、新しい道は排除してきて、縮小していってさ。

けど、ハリウッド映画が衰退してさ、ドラマが代わりに出てきてさ、
次はネット配信が主流に移り変わるというアメリカの貪欲さってのは見習うべきところやなって思う。

それに、復活の道は、何も未来にあるわけじゃなく、
過去にも埋もれた遺産があってさ、特に日本のマンガの鉱脈は凄いのかもしれん。

なんやろな。

netflixっていう新しい道から、日本の過去の遺産が蘇った本作を見るとさ、
日本が、自分たち自身で気付いてやれることって、もっとあるんじゃないの?
って感じる作品だったわ。

元々、力はあって、けど使われてない、眠っている、潰している。

足元守るために。

この映画の集落の人たちと同じで、立ち止まって守って。

この映画が出てきて、壊してくれたことに気付いて、
前に進めるかどうか。

日本のエンタメの未来はそこに気付くかどうかにかかってるのかもしれん。

ま、エンタメだけちゃうやろけどね。