原作は本当に良い本だったが、実写版のこちらも良かった。原作とは設定や状況が一部異なる所があるが、映像化するにあたり、そのほうが映えるなと思える演出はなるほどなと感じた。原作はとにかくリアリティが素晴らしく、一般的な多くの社会人が「これすごく分かるな…」と思わせる世界観で描かれている。だからこそベストセラーになり、多くの人の支持を得た。映画版はその作品の根本は変えずに、そのままだと映画として地味になってしまう映像をなるべく原作の質を変えずにいじってある。成島出監督らしい安心して観れる質の高い邦画だった。ブラック企業が社会問題化する昨今、企業だけでなく働く側の意識も重要。今の場所だけがあなたの世界じゃない。自分らしく生き甲斐を持てる場所が他にあるかもしれない。自分をもっと大切にして生きるべきだと気付かせられる作品だ。
