凛

ちょっと今から仕事やめてくるの凛のレビュー・感想・評価

3.7
成島出監督作品

ブラック企業でノルマを課される青山(工藤阿須加)はミスをしては毎日上司の山上(吉田鋼太郎)から叱責され、パワハラを繰り返され、激務で疲弊していた。同じ部で働く仕事の出来る美紀(黒木華)は憧れの先輩。
青山はある日電車のホームで疲労の為意識を失い電車にはねられそうになる。それを助けたのがヤマモト(福士蒼汰)と名乗る関西弁を話す男。
幼なじみらしいが青山には記憶がない。
小学校の同級生にヤマモトはいるけど、友達によると海外にいるらしい。

実はヤマモトは年齢は3歳上、山本純が本名で、はじめは人違いで声をかけ多そうだ。ヤマモトと話していると楽しくリラックスできる。
仕事も順調に行き始めた矢先、取引先とのトラブルに見舞われ、またもや辛い会社生活に逆戻り。
ヤマモトからは転職を薦められる。

ヤマモトが墓地行きのバスに乗り込むのを見た青山は、山本純が3年前に自殺したことをブログで知る。写真はヤマモト自身だった。
ヤマモトは本当は誰なのか考えていると、先日の取引先とのトラブルは先輩の美紀がわざと仕組んだものだと分かる。
後輩の青山に抜かれないように美紀も必死だった。
全てが嫌になった青山はヤマモトの説得により、ついに会社を辞める決心をする。

ヤマモトの正体は山本純とそっくりな兄山本優。弟の自殺を食い止めることが出来ず、身を投げようとした青山を放っておけなかった。。

工藤阿須加が追い詰められて自分を見失う真面目な社会人を熱演している。
結構こういう立場の若い人はいるんじゃないか。親に言い出せないとか周りに気を使い過ぎて、自分の本当の状態がよく分からなくなっている。
仕事は大事だけど命を削ってまですることじゃない。
そう気付かされる。
吉田鋼太郎のパワハラ上司の勢いが凄すぎて本当に辛い。こんな環境にいる社員は本当にいるんだろうと思うと余計に辛い。
ノルマを課されて焦る先輩の黒木華も、追い詰められて限界な感じがよく出ていた。
福士蒼汰は明るくて優しいが、実は弟のことで辛い思いをしている複雑な表情が秀逸。ラストは晴れやかな笑顔でヤマモトが福士蒼汰で良かったと思う。あまり観ない役どころで新鮮。

ヤマモトみたいな人に会いたい。
人生に詰まった時に風穴を開けてくれる何かに出会えたら、本当にラッキーだ。
バヌアツは行ったことがないけど、素晴らしく綺麗な所だなぁ。
凛