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はらはらなのか。のマーチのレビュー・感想・評価

はらはらなのか。(2017年製作の映画)
2.8
【(短文)レビュー】

女優を夢見る少女が理想と現実のギャップに悩み、大人の汚い世界を知ることで挫けつつもまた立ち上がり、夢に向かって歩みを進める物語。

子どもが思い描く純粋で煌びやかな世界への幻想に、利己や破綻した都合で塗り固められた大人の汚い世界(現実/不条理)を突き付けることによる虚しさと乖離的切なさを感じる作品であり、ファンタジーにリアリティを持ち込む危険性を恐れずにやってのけているのは大変素晴らしく、ファンタジー愛溢れる酒井監督ならではの独特の世界観が雰囲気を一切損わずに展開されているのは良いんだけれど、“逃避”の象徴として度々挿入されるミュージカルシーンがかなりチープで少しも胸が踊らなかった…かなり小規模な作品なので予算がそこまで回らないのはよく分かるけど、舞台演出っぽくするよりもどうせならCG全開で監督のビジョンを実現した方がいくらか優れた作品になったと思う。それだけ監督の個性の塊と化したファンタジックで独特な世界観は面白味が溢れていて良かった。だからこそ非常に勿体無い。

ミュージカルシーンは己が観たい画を優先させすぎていることで若干の嫌悪感を覚えるほどドヤ感が前面に出ていたし、何より引きの絵が強烈にダサい。脚本は低予算向けで内容も悪くないのにビジュアルが圧倒的に追いつけていない感じがどうしてもしてしまって、イマイチ乗り切れなかった。

皮肉にも作品自体が原ナノカ状態になってしまっている訳で、絶対にビジュアル補正という面でもう少し予算を割くべき作品だったと思う。

ただ、符号的な憧れの対象とそれに輝く眼差しを向ける少女という対比は美しくて心情描写的にもバッチリだったし、共に切磋琢磨する友達🤝を絡めた演出も作品に豊かさが生まれていて実に印象的で見事だった。


【p.s.】

その日に観た作品を出来るだけその日のうちにレビューしておきたいのですが、未レビュー作品が溜まりに溜まってきた影響で追いつかなくなってきたので、今年に入って観た数作品分は、《(短文)レビュー》で投稿しておきたいと思います。
しばらく続きますので、お付き合い下さい♪

*映画情報もカットします。御了承下さい。


【映画情報】

なし
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