殺る気なヘンリーシルヴァ

新感染 ファイナル・エクスプレスの殺る気なヘンリーシルヴァのレビュー・感想・評価

2.5
続編を見たので再鑑賞

ゾンビ映画としては文句なしの
"駄作"ですね
他の人がどんな褒め方しようが自分は問答無用で駄作と言います。


まぁ、理由としては
自分はゾンビ映画は基本大きく以下の3パターンの組み合わせでできていると考えてます
それは

1.ゾンビとの攻防戦をメインにしたリメイク版ドーンオブザデッドのようなサバイバルアクション

2.生存者たちの人間ドラマやその世界での人生観

3.独自の世界観を展開したり設定勝負なオリジナリティ性
です

★以降各要素を(1)(2)(3)と記載します


今作に関しては
正直その全てを狙いに行って全てハズした作品かなと…

総評
(1)緊張感のなさからテンポ悪くゾンビとの攻防戦感なし✕

(2)短時間でも濃く描けるジャンルで時間かけすぎ ✕

(3)新幹線が活きてない △

おまけに…


各評価理由の内訳

まず、本作をサバイバルアクション(1)として評価するなら
しょっちゅう会話やイザコザに挟まれ直ぐにゾンビとの攻防が止められその時間も長いことから
スピード感に欠けノンストップ・サバイバルとは程遠いいうえ、
(1)のタイプとして評価できる数少ない前半の駅でのシーンやラストの列車にしがみつくゾンビなど
見どころを全てCMで流していたため高評価には繋がらず
よってこの系統としての評価は低い

まぁ、ゾンビ乗り込んでくるまでに20分かけてるし
こんなやり方ならテンポ悪いのは必然的かなと

次に人間ドラマ(2)として見るにはどうか…
個人的な率直な感想としては

"安い感動の押し売り"

である
そして、それを見せるためにグダグダした会話、やり取りを延々と展開してテンポを引っ張っているだけにしか感じられず

別にサバイバルの中で見てる側に同情や感動を与える作品なら
それこそゾンビでなくとも良作、名作で
「ポセイドンアドベンチャー」やスタローンの「デイライト」があるわけで

ああいうの見たことある人なら
この手のジャンルでしっかりサバイバル要素やアクション入れながらも
短時間しか各キャラクターに触れずとも
見てる側に同情できるキャラクターやそこからの感動は生み出せるとわかると思うんだけど


今作に関してはその為の伏線を
これでもかと延々と展開し続けてんのがね…
で、いざその感動シーンです!ってとこがダサい!泣けねーよ

他の多くの人が感動したと言ってるのは重々承知ですが特にラストの主人公死ぬシーンが特に酷い
取ってつけたように突然流れる回想シーンが押売感ハンパなかったです

劇場で見たときも失笑しました



最後に場所や設定勝負(3)な作品として見た場合はどうか

それについては、新幹線という設定、場所こそ新しく評価できそうなものの

ではその中でしか起こりようのない展開や絶望感があったか
要はその要素を活かせていたか
それについては評価が低いとまでは言いませんが微妙でした

理由は新幹線の中でやったそれらしい事が座席上部の荷物置きの部分を使った移動とゾンビが反応するのが明かりと音なためトンネル区間でチャンスがあるというところくらいだから

新幹線という閉鎖空間の中の絶望感はなかったのか?と聞かれればハッキリ
無かったと言える

なぜなら絶望感に打ちひしがれるには大分余裕があったから…

この限られた閉鎖空間のなかジワジワピンチに追いやられる恐怖を描くなら人間のイザコザを描く暇なく
ゾンビとの攻防に時間を割かなくてはいけないところ
ですが、ゾンビが迫ってきてるのに
なんとかゾンビの特性を利用し注意を逸し、また扉頑丈なんで少しの間なんとかなりますって
人間同士ご競り合いしてたらそりゃね

ゾンビに追いやられてる感ないし絶望感も恐怖も無いよね


要はこの設定を活かすなら人間ドラマをメインにするのではなく

ゾンビとの攻防戦(1)をメインとして成功させないとこの設定(3)を活かせないと思う


以上から
今作は正直ドラマだけで勝負の状態になっており
ゾンビというジャンルである必要性がなく
ひっくり返った船の話でも通用する内容なのである


それを多分唯一ゾンビ映画として成り立たせる、救えた要素が主要人物の死に様である
これが、ゾンビによるための死であればまだ救えたものの
主要人物の死因の殆どがバス会社常務のヨンソクによる人為的な物にしてしまったため駄作確定に


仮に考えてみてほしい
丸々ひっくり返った船のなか
生き残った人たちが外へ出るための道中の死因がほぼ他殺だったらと

ポセイドンアドベンチャーはハシゴを登っていた際吹き出した水に押し飛ばされたりと人為的でない事故死が続くからこそ
ことあるイベント事になにか起きるのでは?と「ファイナルデスティネーション」のような緊張感が生まれ
また、登場人物の死が悲劇になりうるのである

それが他殺であれば
また、〇〇に殺されるんじゃ?
こいつが助かるためにこいつが犠牲になるのでは?と
ドキドキする要素になりえないうえ
不快な思いにさせられるだけである

ようは止む終えない人の意思とは関係のない突然の死だからこそ悲劇的な死となり残された者のドラマが活きるのであってそれが利己的人間の犠牲だったとなると話が全く変わってくるのである

そして、もし利己的人間による犠牲とそれによる残された者を描きたいならそもそも題材を変えたほうが良いと思う


散々文句ばかり言ってますが
まぁ、それでも大金をかけられているだけあり
視覚的に面白いシーンはあります
なので本編を丸々見るのは時間の無駄に感じますが海外トレーラーを見るぶんにはなかなか面白いのではないかなと… 

そういった意味でスコアは2.5です

自分の本作に対しての評価が低いのは多分、これを見る前にデッドフライトなど見ていたから奇抜な戦いや攻防戦が展開するのではと期待しすぎたり

見どころほぼ全見せトレーラー見てジェットコースター急のハイスピードな攻防戦が見られると期待し過ぎたのがいけなかったのかな…

良作ゾンビ映画を未視聴の予告編も見ずに見てたら楽しめただろうなぁ…と