てんさん

新感染 ファイナル・エクスプレスのてんさんのレビュー・感想・評価

3.7
この映画を撮るために、鉄道会社とタッグを組める韓国のコンテンツに対する意気込みの前には、平伏す以外にほとんどすることがない。この巻き込み力は驚異的。

そしてテーマはゾンビであると。世界に数多あるゾンビ物で勝負すると。しかも真っ向勝負であると。そして、なかなか勝負になる出来栄えになっているのが、これまた末恐ろしい。

まず目につくのは、ありそうで無かった電車×ゾンビの組み合わせ。電車内という狭い空間にステージを限定したおかげで、多勢に無勢なゾンビ戦をなんとかイーブンに持ち込ませる設定の妙。その設定のおかげで、知恵と工夫で数で負ける敵を上回ろうとする人間の足掻きにリアリティが生まれ、次の展開が気になってしかたないストーリー設計が実現できている。これ、狙ってやってるんだろうなー。スゲーよ。

登場人物も、それぞれの役割がきちんとストーリーと連動していて無駄がない。足手まといキャラもきちんと用意されていて手抜かりのなさを見せつけてくる。

ゾンビ映画のお手本要素をきちんと踏まえた上で、観客の予想をガンガン超えてくるこの映画は、ゾンビ映画の新たな扉を開いた感を感じざるを得ない。天晴でございます。
てんさん

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