K助

新感染 ファイナル・エクスプレスのK助のレビュー・感想・評価

4.0
今年観た映画で、『君の膵臓を食べたい』、『バーフバリ』に次いで、三番手に着けようかというくらいに面白かった映画。『バーフバリ』でインド映画侮り難しと感じましたが、この『新感染 ファイナル・エクスプレス』で韓国映画侮り難し、との思いを新たに。この作品を観たせいで、点数の整合性を取る為、「ワンダーウーマン」の査定を4.0から3.9に下げようかとも思いましたよ(笑)。

ソウルから釜山へ向かう高速鉄道KTX車内を舞台に繰り広げられる、ゾンビ映画です。序盤が少しタルいですが、KTXが動き始めてからは怒涛の展開。最後の最後まで、息もつかせぬアクションの連続です。誇張抜きで。ハリウッド映画ならここでインターバルだよね、というところまで、情け容赦無しにトラブルを突っ込んできます。サービス精神旺盛。むしろ、旺盛過ぎるレベル。二時間に満たない上映時間ですが、もっと長く感じました。

普通の高速鉄道が舞台ですので、人間模様も多彩です。登場人物は主人公のエリート証券マンとその娘の他に、妊婦と夫、野球の試合で遠征に赴く学生たち、会社の重役、老姉妹、サラリーマン、客室乗務員、列車運転手、浮浪者、などなど。そんな人たちが、出発間際に駆け込んできたゾンビウィルス感染者一人の為に、恐ろしい事態に巻き込まれます。
ゾンビのタイプとしては、最近流行の走るタイプ。『ワールド・ウォーZ』のゾンビに影響を受けたと思える表現が多いです。が、『ワールド・ウォーZ』では壁を人間梯子でよじ登る以外はただ走っているだけでしかなかったゾンビが、この映画ではちゃんと怖さの演出に一役も二役も買っています。これがロメロタイプの手を持ち上げてノタノタ動く古典的なゾンビだったら、この映画の緊張感は成り立たなかったでしょう。
そんなゾンビの大群に、武器もない一般人が立ち向かわねばならない絶望感。ハリウッドなら、ピストルをガンガン撃って、それでも防ぎきれずにゾンビの波に呑まれるパターンでしょうが…。

誰がどのタイミングでどうやって死んで、誰が生き残るのか最後の最後までわからない、緊張感のある展開に終始圧倒されっぱなし。まあ、落ち着くべきところに落ち着く、とは観終わってからは言える、のかなぁ…。何しろ、良い奴も悪い奴もバスッと死にます、殺されます。意外なタイミングでの意外な死は、サメ映画のB級的名作『ディープ・ブルー』に通ずるものがあるかも知れません。
観劇中、登場人物の行動にムカついたり、涙したり、ホント、心の休まる暇がなく(笑)。ゾンビも怖いけれど、追い詰められた人間の集団ヒステリーも怖いよなぁ、なんて思っちゃいます。あと、妊婦があんなに走って大丈夫なのかと小一時間。

結局、ゾンビウィルスが蔓延した理由は、良くわかりませんでした。吹き替え版を観たので上手く聞き取れなかった箇所が最後の方にあるのですが、そこで説明ししていたのかな…?
まあ、詳しい理由が気になる人は、前日譚の『ソウル・ステーション:パンデミック』を観ろ、って事ですかね。別に原因がわからなくとも、面白さにはなんの影響も与えません。

観たからといって、人生に希望が持てるとか、愛について目覚めるとか、そういう高尚なものではなくて、純粋に二時間、娯楽作品を求める人にオススメです!

あ、劇場パンフレットは内容が思いっきり薄いので、買わない方が良いです、はい(涙)。